『イエローキッド』(☆☆☆★)

東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻3期生修了制作展
(56)『イエローキッド
☆☆☆★ 東京藝術大学横浜校地 馬車道校舎3F大視聴覚室
監督/真利子哲也  脚本/真利子哲也   出演/遠藤要 岩瀬亮 町田マリー 波岡一喜 玉井英棋 でんでん
2009年 日本 カラー 111分

『ドキュメント・森達也の『ドキュメンタリーは嘘をつく』 (DVD付)』

(11)『ドキュメント・森達也の『ドキュメンタリーは嘘をつく』 (DVD付)』 (キネマ旬報社

 テレビ番組『ドキュメンタリーは嘘をつく』(放送時の自分の感想はコチラ→http://d.hatena.ne.jp/molmot/20060326#p1)が遂にDVD化された。嬉しさのあまり即購入したが、実に濃密な作りになっていて、あの番組への愛着がある視聴者としてもこれ以上嬉しいことはない。
 所詮、と言っては悪いが、テレビ東京の日曜の午前中に放送されたに過ぎない番組が、DVD付きの単行本として広く見られるまでに育つのだから、テレビの可能性はまだあるのだと思えた。
 本文では番組内のインタビューのロング版、田原総一朗への新たなインタビューに、松江哲明らのブログからも引用された撮影日誌、更には番組企画書、向井康介の書いたプロットと台本まで収録し、その上放送前に朝日と読売に掲載された番組紹介文まで再録されているのだから、『ドキュメンタリーは嘘をつく』をめぐるモノはここに全て詰め込まれていると言って良い。その結果、ここには、原一男、佐藤真、緒方明綿井健陽田原総一朗森達也、村上賢治、松江哲明真利子哲也といった新旧の映画、テレビでドキュメンタリーを作ってきた異能の監督たちが、インタビューする側、される側、作り手側として交錯するというありえない並びが実現し、更にDVD特典の編集に清水浩之、制作協力にSPOTTED PRODUCTIONSの名前まで刻まれているのを目にすると、とてもキネマ旬報社から出ている本とは俄かに信じがたいほどだ。こんな本出すからには、今後はキネ旬本誌でも森達也村上賢司松江哲明真利子哲也にSPOTTED PRODUCTIONSの関係作品を率先して紹介してもらいたいものだが、番組を知らなくとも、ちょっとドキュメンタリーに興味があるというぐらいの人が手にとってDVDも合わせて観ていけば、限りなく広い出会いをもたらしてくれるに違いない。この本に登場する名前、作品を覚えて観ていけば、人生の中でも有数の発見の幸福を味わうことができると思う。
 そう言えば書き忘れていたが、まだ全部観ていないもののDVDは特典も充実していて素晴らしいのだが、番組本篇のエンディングがオンエア時同様SINGER SONGERの『初花凛々』が流れたのは驚いた。同じく向井康介の構成で松江哲明が編集した『谷村美月17歳、京都着。 〜恋が色づくその前に〜』では、オンエア時にエンディングで流れたaiko「瞳」がDVDでは差し替えになっていたので、本作でも当然同じような事態になっているに違いないと思っていただけに意外だった。尚、エンディングに『初花凛々』が何故使用されているかは、村上賢司監督が答えてくれている。(→http://d.hatena.ne.jp/molmot/20060326#c1143557491)。

ドキュメント・森達也の『ドキュメンタリーは嘘をつく』 (DVD付)

ドキュメント・森達也の『ドキュメンタリーは嘘をつく』 (DVD付)

【BOOK】
第1章 番組 「森達也の『ドキュメンタリーは嘘をつく』」
制作が決定するまで

第2章 制作日記
第3章 番組で放送されなかったインタビューからの抜粋
第4章 番組ができたあとに
第5章 長めのあとがき
付・番組プロットおよび台本、索引または……語注

トークセッション
森達也が語る森達也
〜僕がテレビを辞めるまで〜作品が依拠するべきは何か
〜視点を変えれば見方が変わる

スペシャトークセッション
田原総一郎×森達也

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【DVD】
?番組本編「森達也の『ドキュメンタリーは嘘をつく』」(45分)

?番組未使用ロングインタビュー(40分)

藤原ヒロシ 音楽プロデューサー
原一男 「ゆきゆきて、神軍
佐藤真 「阿賀に生きる
緒形明 「いつか読書する日
安岡卓治 「A」「A2」プロデューサー
綿井健陽 「Little Birds-イラク 戦火の家族たち-」ほか

?未公開シーン(14分)

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