イベント 『ジュンク堂書店池袋本店 JUNKU 連続トークセッション 「黒沢清を作った10の映画」 黒沢清×篠崎誠』

11) 「黒沢清を作った10の映画」 黒沢清×篠崎誠」 (ジュンク堂書店池袋本店) 

映像のカリスマ・増補改訂版 黒沢清の映画術 黒沢清の恐怖の映画史 映画はおそろしい 映画の授業―映画美学校の教室から


黒沢 清(くろさわ・きよし)
1955年兵庫県生まれ。立教大学在学中より8mm映画を撮り始め、長谷川和彦相米慎二に師事したのち、83年『神田川淫乱戦争』で商業映画デビュー。以後、『ドレミファ娘の血は騒ぐ』(85)『地獄の警備員』(92)『復讐 THE REVENGE』シリーズ(96)等も監督し、97年の『CURE キュア』は世界各地の映画祭で上映された。その後も『ニンゲン合格』(99)『カリスマ』(99)『回路』(00/カンヌ国際映画祭批評家連盟賞受賞)『アカルイミライ』(02/カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品)『ドッペルゲンガー』(03)『LOFT ロフト』(05)『叫』(06)など連続して作品を発表し続けている。著作に『黒沢清の映画術』(新潮社)、『映画はおそろしい』(青土社)等。

篠崎誠(しのざき・まこと)
1963年生まれ。デビュー作『おかえり』でベルリン映画祭最優秀新人監督賞ほか海外で11の賞を受賞。他に北野武監督に密着取材した長編ドキュメンタリー『ジャム・セッション「菊次郎の夏」公式海賊版』。『忘れられぬ人々』(ナント三大映画祭最優秀男優賞、女優賞)、『犬と歩けば チロリとタムラ』(上海映画祭アジアニュータレント・グランプリ)などがある。近年『刑事まつり』などのショートムービーの企画・プロデュースを手掛ける。立教大学現代心理学部教授。著作に黒沢清監督との共著『恐怖の映画史』(青土社)がある。

 このトークは『映画のカリスマ 増補改訂版』(エクスナレッジ)刊行記念イベントです。
また、司会進行役として、boid代表樋口泰人氏にお加わり頂きます。

http://www.junkudo.co.jp/newevent/evtalk.html#kurosawa


 このイベントで、エズラとして強烈なのが二つあった。
 一つは、前に座ってた姉ちゃんがモニターに映像を映すと見え難いので、前屈みになるせいで下着が見えるのだが、別にそれはどうということもないのだが、タンガと言うかTバックで、且つかなりズリ下がっていたので、ケッコー強烈なことになっていた。見る気は決して決してないのだが、モニターを見ると自然と視界に入って来る為、これはもう仕方のないこととして、両目の視度調整を極端にしつつ両方を視界に入れていた。
 もう一つはジュンク堂側の仕切りが悪いので、モニターが客席からは見辛いと。後述するboidのオッサンが来なかったせいもあるのだろうが、映像を見せる為の準備がいいかげんで、中心にドンと置いてあるテレビデオが邪魔ということになり、退けることになったのだが、店員は何もしないので、黒沢清自らケーブルを抜いてテレビデオを持ち上げて、ハケさせていた。黒沢清テレビデオを抱える姿をシーンとしている中、見ているというのも妙な光景で、モヤシっ子と思っていたが、あれぐらい持つだけの力はあるのね、とか写メ撮っとけば良かったとかくだらないことを思っていた。
 boidのオッサンが、もう仕事やめじゃと日記に書いてあるのを読んでいたので、今日はどうするのだろうと思っていたら、結局黒沢清と篠崎誠の二人でやることになったらしく、司会進行が不在という事態の為、篠崎が急遽ハナシを進めることになったとのことだったが、「黒沢清を作った10の映画」というテーマは二人ともさっき初めて聞いたとのことで、では今日は雑談に終止するのかと思いきや、用意周到な篠崎誠による、「黒沢清の映画史的記憶に再び迫って」とも言うべき充実したトークセッションになった。
 メモを熱心に取られている方が何人か居たので、いづれどこかのサイトなりブログなりに詳細なレポが出るだろうから、自分は言及された作品を列挙するに留める。
   「映像のカリスマ」の、旧版ならP182、増補改訂版ならP166に載っている『七十年代アメリカ映画ベスト10』について、黒沢に覚えているかという篠崎の問いから始まる。黒沢が挙げていくタイトルはほぼ合っており、何でこれを‥アレを入れずに‥などと言いつつ挙げられた作品は、上記ページに載っているが、後で関連してくるので書いておくと、


七十年代アメリカ映画ベスト10

ただし『ダーティーハリー』と『ジョーズ』とオルドリッチ全作品は除く

1  ラスト・ラン/殺しの一匹狼(リチャード・フライシャー
2  超高層プロフェッショナル(スティーヴ・カーヴァー)
3  大脱獄(ジョゼフ・L・マンキーウィッツ)
4  処女の生血(ポール・モリセイ)
5  アイガー・サンクションクリント・イーストウッド
6  ビリー・ザ・キッド/21才の生涯(サム・ペッキンパー)
7  怒りの山河ジョナサン・デミ
8  トラックダウン(リチャード・T・ヘフロン)
9  ロイ・ビーンジョン・ヒューストン
10 要塞警察ジョン・カーペンター
次  マッドボンバー(バート・I・ゴードン)

ブラッド・フォー・ドラキュラ/処女の生血 [DVD] アイガー・サンクション [DVD] ビリー・ザ・キッド 21才の生涯 特別版 [DVD] ロイ・ビーン [DVD] 要塞警察 [DVD] マッド・ボンバー [DVD]  


 となる。  この後、篠崎が作成した「清の異常な愛情」という黒沢清の映画史的記憶の実践の検証を行うDVDを流しつつ進んでいった。  篠崎の指摘に黒沢が手で顔を覆って恥ずかしがるのが面白かった。
 最後に「LOFT」における「めまい」の引用について語られた。
 それにしても、「スウィートホーム」についてここまで語られたのは珍しく、篠崎でなければなかなかできない芸当だと思った。黒沢清の前では、イタミは当然として、「スウィートホーム」もなかなか口にし辛い単語ではないだろうか。実際黒沢も、映像を見ながら、久々に観たと言いつつ、何だか心なしか深く沈みこんだような感じになっていったし。それでも気にせず、どんどん篠崎が、ここのロングショットが黒沢さんもホラここでやってる、などと飄々と進めていったので、直ぐテンションを黒沢も戻していたが。
ジョーズ [DVD] スクワーム [DVD] カリスマ [DVD] 危ない話 [DVD] ザ・フォッグ コレクターズ・エディション [DVD] ドラキュラ復活 血のエクソシズム [DVD] めまい ― コレクターズ・エディション [DVD]
 
 
 客席からの最近のベスト10はどうか、という問いに対しては、最近はあまり観れていないと言いつつ、ここ1、2年のベストとして順位なしで挙げて行った作品を発言順に記しておけば、


     ・宇宙戦争スティーブン・スピルバーグ
     ・メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬トミー・リー・ジョーンズ
     ・ヒストリー・オブ・バイオレンスデイヴィッド・クローネンバーグ
     ・ミュンヘンスティーブン・スピルバーグ
     ・ミスティック・リバークリント・イーストウッド

【番外】 ・グエムル 漢江の怪物(ポン・ジュノ

宇宙戦争 [DVD] メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 スペシャル・エディション [DVD] ヒストリー・オブ・バイオレンス [DVD] ミュンヘン スペシャル・エディション [DVD] ミスティック・リバー [DVD] グエムル-漢江の怪物- スタンダード・エディション [DVD]


 とのことで、これには完全に賛同できる。「宇宙戦争」については、これまでにも語られているので良いとして、嬉しかったのは「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」を大変気に入っている様子だったことで、これは本当に傑作で、本来この作品を最も観るべき人達の足が向きにくくなる劇場、恵比寿ガーデンシネマで公開されたせいで、あまり評判が広まらなかった。自分が観た時も、ガーデンシネマレギュラーのオバサマが少し居たぐらいのガラガラで、オバサマは、イヤーネーと言いながら帰って行ってたが、これはトミー・リー・ジョーンズが、イーストウッドと同じランクにポンと入ってしまった傑作で、ちゃんとアメリカ映画してるのだ。DVDがもう出てるから、黒沢清も誉めてるんだら未見のヒトは直ぐに観るべき。公開時にここら辺を取り込んでおけば少しは動員に影響が出たのにと思う。
 スピルバーグ、クローネンバーグ、イーストウッドは絶対挙げると思っていたから良いとして、これはここに挙げるべきじゃないかも知れないけども、と言いつつ駄目な所もあるがやっぱり凄いと「グエムル 漢江の怪物」を挙げていたのも嬉しかった。
 イーストウッド硫黄島二部作について、予告が最悪だが、イーストウッドがあんな予告で言われてる感動モノを撮るわけがないとは思うものの、題材が題材なのでどうなんだろうか‥と言いつつイベントは終わった。

 終了後、各書籍への販売&サイン会が行われていたが、今更サインなんて貰って喜ぶ歳じゃないと席を立ちつつ、こんなこともあろうかと、幸い「映像のカリスマ」を発売直後にジュンク堂で購入して未だ読んでなかったので、カバーをしたままということもあり、念のために持ってきておいたので取り出してサインを頂く。