3/31〜4/14

忙しいわけではなく(毎日のように映画観てる)、セワシナイだけだが、ブログを毎日更新にすると、書くのが遅いクセに無駄に長い文を書くせいで、時間が取られるので、今後は後で纏めて書くことにしたものの、溜まって来たので、メモ書きを公開してお茶を濁す。後日各日に詳細感想を書く。
まあ、今後は週末か、月の半ばとケツの二回か、月末にでも一気に書くような形で。

3月31日(土)
中野ブロードウェイで、DVDが500円セールやってるので物色。『バニシング・ポイント』『荒野の七人』『邂逅』を購入。
『邂逅』は、PDではなくIVCから出た版なので、字幕は概ね大丈夫だろう。それでも500円で売られてしまうと、一般にはPDとの区別はつくまい。
淀川長治が裏ジャケに載っていようが、PDも水野晴郎が解説してたりするわけだし。『Title』誌で小林信彦がPDの宣伝に利用されてたりもする時代だ。
タコシェでWHDのDVD、本日発売になるラインナップから、とりあえず『金星ロケット発進す』と『美しき生首の禍』を購入。画質・字幕チェックを兼ねて。各780円。
紀伊国屋から2in1で出ているヤツをPDで出しているだけなので、コアな層からは、こんなもんいらんと言われているようだが、紀伊国屋のDVDは高いし、大体名作揃いでもないのだからアタリハズレを考えると、一度このシリーズで買って、良ければ紀伊国屋で買い直すという形が良い様に思うが、結局二度手間の無駄遣いか。
古本屋の『シナリオ』誌のバックナンバーを漁って三冊。各100円也。

表参道で降りて青山ブックセンターへ。『蓮實重彦とことん日本映画を語る VOL.17』。今回のお題は「日本の幽霊」。黒沢清まで行くのかと思いきや、それは次回。専ら時代劇での幽霊表現について。それでも相変わらずやたらと面白い。

4月1日(日)
注文していたLDBOX『クレージーキャッツ・メモリアル』届く。イマドキLDに二万円も払わされるが、『シャボン玉ホリデー』や『植木等ショー』がノーカット収録されているのだから仕方ない。『シャボン玉ホリデー』、やっぱり面白い。既に一度観ている回も入っているが、丹念に見返そう。
夜のTBSの植木等追悼番組は前半見逃す。『植木等ショー』の映像を大分出したようだ。『8時だヨ!出発進行』は流したのか。
LDのライナーで、ハナが生前『シャボン玉ホリデー』のソフト化に動いていたハナシを始めて知る。しかし、このライナーは資料性皆無。収録作の放送日時もスタッフもわからない。
このLD買ってしまったからには、DVD化してくれるなと勝手なことを思う。

所沢に新たに出来た福柾書店で石坂浩二トーク&サイン会。告知が行き届いていないのか客は少ない。
個人的には金田一のハナシをたっぷり聞けて幸せだった。驚愕したのは新作情報で、『犬神家の一族』がコケたので新シリーズ化は無理だと思っていたが、現在、市川崑は『犬神家の一族』の新旧版をMIXさせたバージョンを製作しているとかで、石坂曰く「金田一がジジイになったり若返ったりする」そうだ。年内にミニシアター系で公開されるらしい。夏に出る犬神のBOXには、新旧版を収録した盤が出てマルチアングルで切り替えできるようにするらしいから、そう不思議でもないのかもしれない。大体市川崑は、ハナからそれを狙っていたのではないか。91歳の監督によるアヴァンギャルド過ぎる試みだ。
更に新作として、『本陣殺人事件』の準備に入っており、又、市川崑が監修に立って弟子筋の監督達による金田一映画を作る企画も進んでおり、岩井俊二が『悪魔が来りて笛を吹く』、手塚昌也が『三つ首塔』を映画化するそうだ。全て石坂浩二が主演するので、今年から来年にかけて一気に三本連続撮影になるので体力と髪の毛を大事にしつつ撮影に入りたいと冗談めかして言っていたが、まさか現在にこんなことが起きるなんて思ってもみなかったので期待したい。
それにしても東宝は、森田芳光の『椿三十郎』に続いて、崔洋一の『用心棒』、樋口真嗣の『隠し砦の三悪人』、行定勲の『天国と地獄』、飯田譲司の『蜘蛛巣城』、滝田洋二郎の『酔いどれ天使』と黒澤リメイクも続き、再生産ばかりである。

4月2日(月)
DVDで『クレージーの大爆発』(古澤憲吾/☆☆☆)観る。
植木が三億円事件犯人だったという大胆さと、『マダムと泥棒』みたいに、穴を掘って銀行強盗しようとするのが楽しく、松岡きっこもセクシーで良い。
しかし、後ろに大掛かりな組織を持ってきて、水爆やロケットなど大作めいた要素を持ち込んでくると散漫になってしまい、大味な印象。
あと十年ずれていたら、クレージー主演で実写『ルパン三世』が出来たと思う。

ラピュタ阿佐ヶ谷で『女教師 私生活』(田中登/☆☆☆★★)、『安藤昇のわが逃亡とSEXの記録』(田中登/☆☆☆★)。
レア作ではないので空いている。肝心の『白い悪魔が忍びよる』と『鬼火』を見逃したことが心残り。
『女教師 私生活』、開巻の朝の室内情景の素晴らしさに涙腺が緩む。しかし、以降の風船とか桜が大量に散るとか、下手なヤツがやるよりは全然不快にならないが、オブジェに仮託しているものが明解になりすぎて好みではない。
安藤昇のわが逃亡とSEXの記録』、大島渚の『悦楽』同様、性以外の余計なモノが入り込む一般映画でやると難しい題材かとも思うが、終盤に一気に面白くなる。やはり、男と女はアレしかないんよ。

ラピュタの受付横の田中登パンフ、思わず購入。HotWaxが出したモノ。今度出るインタビュー等が入った方を買おうと思っていたが、劇場の受付に置かれると、つい買ってしまう。千円。

新宿TSUTAYAで中古DVD『かえるのうた』購入。約千円。
今度のアップリンクの、いまおかしんじイベント「まー、いーか」でいまおか作品のDVDを提示すれば値引きになるらしいので丁度良かった。
『かえるのうた』自体は劇場で2回、DVDもレンタルしているから不要と思ったが、ライナーの充実ぶりに驚く。

4月3日(火)
雑誌『シナリオ5月号』と、単行本『植草甚一コラージュ日記②』購入。

4月4日(水)
朝3時に目が覚めたので9時過ぎまで仕事続ける。
渋谷に出て『1900年』『叫』『春のめざめ』『悪魔の沼』という無茶なハシゴを計画していたが、仕事のキリが良いとこまで粘っていたら遅れて計画頓挫して『悪魔の沼』は後日となる。

シネセゾン渋谷で『』(黒沢清/☆☆☆★★)。秀作なのが当たり前なのかもしれないが、やはり素晴らしかった。ただ、満ち足りた気分で劇場を後にしながら、毎度御馴染みの黒沢好きな方々と、あそこが良かったと語り合うだけにどんどんなっていってしまっている気がして複雑な心境に。パンフ、700円。

空いている時間を利用して、シネマ・アンジェリカで『岸部のふたり』と『春のめざめ』2本立て。予告含めても45分ほど。正にジブリ美術館の短篇並。
『春のめざめ』、童貞少年の性的要素が面白かった。水彩のタッチは実験的側面としてそれなりに興味を持つ。

シネマヴェーラ渋谷で『1900年』(ベルナルド・ベルトルッチ/☆☆☆☆★)。
必然の5時間半。全く飽きない。ただただ傑作。ヒトを食った終盤に涙。

渋谷TSUTAYAで中古ビデオリチャード・レスター僕の戦争』100円。

4月5日(木)
夕方にシネマヴェーラ渋谷唇からナイフ』(ジョセフ・ロージー/☆☆☆)にスベリこむ。大盛況の満席に近い状況。『1900年』といい、他の作品はどうか知らないが、ここらは好調なようだ。映画は部分部分で随分と面白かった。もう一本『紳士は金髪がお好き』も観たかったが、予定が合わず直帰。DVDで持ってるからパスした面もあるのだが、皆一斉に『唇からナイフ』が終わると帰る状況が健全なのかどうか。

雑誌『キネマ旬報』『週刊文春』『ぴあ』。
文春、小林信彦『本音を申せば』の「植木等さんを悼む」目当てに買う。『クレージー大作戦』について書いてあるのが珍しい。『大冒険』についてはこれまで何度か細かく書いてあったが、『クレージー大作戦』には、あっさり触れているだけだったので。理由はソフト化されていなかったからというものらしい。浅草東宝か、日本映画専門チャネルぐらいでしか放送しなかったせいか。昨年DVD化された際、小林信彦も係わっていたのでDVDが送ってこられて公開時以来の再見をしたらしい。
『クレージー大作戦』は、小林信彦が参加しているからと過大評価する気は全くないが、ごく冷静に観て、『大冒険』と並んで評価されるべきクレージー映画の数少ない秀作だと思っているので、小林信彦の厳しい意見には納得しつつ複雑な思いに。そこで思ったことを今年、年賀状に書いて送ったのかと朝日新聞に載っていた追悼文の末尾に書かれていた気になる一文の理由が分かった。
小林信彦は当時、『無責任捕虜収容所』という二転三転するプロットをナベシンに話したが、笑って終わっただけだったという。青島幸男も面白いプロットを用意したが相手にされなかったという。映画/TV/音楽の分割統治がクレージーを普遍化させ、やがてはつまらなくしたんだろうかと思う。

4月6日(金)
夕方まで普通に仕事してからアテネ・フランセで『現認報告書』(小川伸介/☆☆☆★)と『日本解放戦線 三里塚の夏』(小川伸介/☆☆☆★★)。
『現認報告書』は恥ずかしながら初見。頭蓋骨の模型を使って説明するシーンに執着するアタリに後年の作品まで通じるものを感じる。
『日本解放戦線 三里塚の夏』、9年ぶりの再見。シネヌーヴォ梅田のオールナイトで一気に三里塚シリーズを観たので、一緒くたになっていると思っていたが、ちゃんと覚えていた。『歓喜の歌』にはやはり興奮する。

パンフ『パルチザン前史』購入。100円。3年前に初めて観て余りに傑作なので呆然とした。『映画評論』に載ったシナリオを持っているので、このパンフもシナリオ掲載ということなので不要かもと思うが100円と言うので買っておく。小川プロが1970年に発行し、1972年に再販されたものが、値段も当時と同じ100円で売られているのが凄い。

アテネ帰りは例によって、近くのビデオLINKで中古ビデオを物色。
武智鉄二の『白日夢2』と『角川映画15年の歩み』+『天と地と 出陣の章』の2本組みというのを購入。各315円。
天と地と 出陣の章』で思い出したが(これは本編のメイキング)、『天と地と 黎明編』というのがあって、映画の前日譚になっていた。これが角川春樹が監督した映画より遥かに面白くて、金曜ロードショーで公開前に放送したが、兵庫県竹田城跡に作った城のセットも使って撮影しているので、TV映画にしては随分豪華なものになっている。三船敏郎も出てるし。監督は小沼勝。11歳の時に観た初めての小沼作品。
角川映画15年の歩み』は、先日観た『コミックチャージ』の付録DVDに付いていた角川映画予告篇と同じものかどうかと思っていたが、何とTVスポット集。つまりは、角川映画のTVスポットって、映画の予告を流すだけではなく、角川文庫の宣伝も兼ねるという形をとって予算を捻出していたので、現在の角川映画はやってないが、往年の作品はケツに【角川文庫】というロゴが出た。それが収録してある。『犬神家の一族』は普通の予告篇だが、『人間の証明』から『天と地と』までは、全てTVスポットを収録してある。モノによってはDVDに収録してあるが、初見のモノが多いので楽しい。『悪霊島』は、予想通り『LET IT BE』を思い切り流していた。二度と観れない幻のTVスポット。あと予告篇が観れたら良いのだが、当時リリースされたビデオには入っていない。
しかし、角川映画のTVスポットは、予告篇以上に煽りまくった作りで、全部異様に面白そうに思えてしまう。

雑誌『ダ・ヴィンチ』。今号で、創刊以来丁度13年買い続けていることになる。
植草甚一ぼくの東京案内』読了。

深夜、アニメ業界を離れた後輩君が訪ねてきたので用件を済ませつつハナシ聞く。庵野秀明が何故GAINAXを離れて新スタジオ、カラーを立ち上げて再びエヴァを作るのか、又は進捗状況についてなど。

4月7日(土)
御茶ノ水ディスクユニオン物色。中古DVD、田中登の『官能教室 愛のテクニック』2500円、フリッツ・ラングの『メトロポリス』IVC版1200円、リュック・ベッソンフィフス・エレメント』630円を夫々購入。

アテネ・フランセへ向かい、昨日に続いて『日本解放戦線 三里塚』(小川伸介/☆☆☆★★)。140分の長尺だが全く飽きない。観始めて気付いたが、たぶんこれは今まで観ていない。カラーの三里塚(以下カラリヅカ)は観た記憶が無い。

終わって直ちに友人と落ち合って、Tジョイ大泉で『蟲師』(大友克弘/不完全鑑賞につき評点なし)。アタマ三十分ほどで寝てしまい、目が覚めるとエンディングだった。いくらレイトで観たとは言え、1200円無駄にして落ち込む。昨年は映画館で寝てしまうことが多かったので今年は絶対に寝まいと決めていただけに無念。ミラノ座系でやってるから、金券ショップで安いのを探してきて再見するしかない。

友人に録画し損ねていたNHK『仕事の流儀 プロフェッショナル』の宮崎駿回のDVDを貰い、観る。一部、YOUTUBEで観ていたが、全篇は初めて。いや、面白い。『崖の上のポニョ』は、『どうぶつ宝島』『パンダコパンダ 雨降りサーカス』を彷彿とさせる漫画映画になりそうで期待できそうだ。

植草甚一植草甚一コラージュ日記②』読了。

4月8日(日)
有楽町朝日ホールで『狂った一頁』(衣笠貞之介/☆☆☆★★)。
前半のシンポは遅れて入ったので中盤から聞く。
映画は9年ぶりの再見。評価は変わらず。開巻の雨やOLの使用の巧みさなど素晴らしいが、全篇凝りに凝りまくった表現主義のこれ見よがしな見せ方には些か肩がこる。

終映後、直ぐさまネカノン有楽町へ移動して、レイトで『フラガール』(☆☆☆)をようやく。もうDVDが出ているというのに。別に評判の良い映画を避けているわけではない。混んでる映画館が嫌いなだけだ。
評価が定まってからそれほどでもないとか言うのは嫌いで、いつ観ようが自身の基準で良し悪しを言うのみだが、それで言えば水準程度の作品。取り立てて悪く言う気はないにしても、そう大した映画では全く無い。決断と対立軸の徹底した回避が最大の欠点で、ブラバンやるとか、ブルーハーツやるというだけでも必要な筈だが、炭鉱を背景に置いて、組合や首切りという要素を出してきてしまった以上、そう御気楽に、決断と対立を避けて作劇が成立するものなのかと思う。偶々最近、小川伸介の三里塚シリーズを再見しているので、あの作品のようになどと劇映画とドキュメンタリーを同一視した物言いをする気はないしても、対立と決断、裏切りといった要素に満ちたあの作品を観てから『フラガール』を観ると、全く魅力に感じない。口当たりの良い映画のようなものが画面に在るだけだ。方言世界への依存による演技の過剰化を抑えていないのも不快。それに、監督の出自(インデペンデント映画出身という意)のせいか、炭鉱を背景に持ちながら、世界観がレッスン場のみに集約し過ぎで、その割にレッスン描写は大してないという矛盾に、狭い空間に持ち込まないと安心できないのかと思ってしまう。松雪泰子は良かった。60〜70年代モノをやらせれば良い存在になるのではないか。
パンフ800円。

4月9日(月)
終日大人しく仕事をして、夜になってからトラブルの連絡を受けて新宿まで素材の返却。
それだけで帰るのは無駄なのでタワレコをぶらつく。その時の気分で、荒木一郎の買い逃しCD『君に捧げるほろ苦いブルース』と、Billie Davis『Tell Him』が千円だったので購入。そういえば『君に捧げるほろ苦いブルース』には『りんどばーぐスペシャル』の荒木版が収録されていて、以前友人にCD借りたせいで長らく購入が後回しになっていたが、そろそろ店頭で入手が困難になってきたので、この復刻シリーズも未購入分はさっさと買わねばならない。
ポイントが貯まっていたので、これまたその時の気分で、『実録・阿部定』のDVDを買おうと上の階へ行くが在庫なし。諦めて次回にする。
原田眞人の監督術』が出ていたので、即購入しかけたが、中をパラパラと読むと、近年の原田作品のイヤな面が本にも入ってきていたので、まあ、また今度に。

4月10日(火)
近所のレンタル店が月イチの半額日なので、森田芳光間宮兄弟』と、ソクーロフ太陽』、青木りんのAVを借りる。
間宮兄弟』は劇場で二回観たが、確認したいこと(本棚に『市川崑の映画たち』が本当にあるのか等)ついでなので。
『太陽』は輸入盤を取り寄せた途端に日本でも公開が決まり、劇場へも観に行ったが、日本盤DVDが出たので、海外盤との画質チェックの為に借りる。ザッと観た限り、日本盤の方が画質は良い。そのうち安くなれば日本盤買い直しても良いかと。
青木りんは着エロ時代にデビュー作を買ってあげた記憶があるが、小太り女好きとして興味を持ったものの、それ以上はなく、以降はレンタルで済ませている。

雑誌『インビテーション』。本の特集で坂本龍一って、『ダ・ヴィンチ』の第3号辺りでやってたじゃねーかと思うも、あれはもう13年前か…。

4月11日(水)
仕事、予定より1日ズレても尚終わらず。
夜、気分転換に本日最終日なのでシアターNで『悪魔の沼』(☆☆☆★★★)を。水曜なので千円。
劇場で観るのは初めて。作品自体13年ぶりぐらいではないか。
ただし、フィルムではなくDLP上映なので、画質はいくらデジタルリマスター版とは言えフィルムには当然及ばず。ビデオ作品なら兎も角、35で撮られた作品を、ビデオシアターではなく、35もかけることが出来る劇場で流しているのだから、その点への不満はしつこく表明しておきたい。そうしないと、無邪気に喜んでいるだけでは、興行側は確実にフィルム上映への固執を緩めにかかってくる。嘗てなら、ソフト化に合わせてニュープリントが作成されて、それが劇場にかかったものだが、ネガテレシネ以降のニュープリントを作成せずにソフト化の為のマスターが制作されるようになってから、又プロジェクターを劇場側が揃えるようになってから、こういった上映が増えていることへの危機感、フィルム作品を、フィルムで上映しないことへの無頓着さがどんどん広がっているようで、じゃあ現像所でタイミングを見たり、何度もプリントを作成して色を整えているのは何なのかと思ってしまう。
しかし、今回の上映に対してDLP上映に対する不満の声を全く聞かないということは、これで全く問題がないとミナサン思っておられるわけだ。
作品自体は、やはり傑作だった。以前観た時よりも遥かに好印象だった。無駄なショットが無いから、一瞬たりとも弛緩しない。猿人としての主人公の獰猛さが素晴らしい。
上映環境としては、ユーロスペース時代からのことだが、前に座高の高い奴が来ると画面の1/4が遮られて、字幕を読む為に始終首を左右に激しく動かさねばならず往生させれた。

4月12日(木)
仕事、追いこみ。
結局、本日最終日の上野オークラで平沢里菜子の『奴隷』を観る算段無理となる。
まあ、近いうちに浅草ででもやるだろう。

4月13日(金)
丑三つの村で、男は村の女たちを愛欲の標的にしたが、結核が移ると嫌われた為に、さくらんした男の悪魔のいけにえとなり、大量に村人は死んだ」


二徹で仕事あげる。朝、8時半に新宿で納品済ませる。既にフラフラなので帰って一度寝てから、午後から阿佐ヶ谷の田中登を観に行こうと思ったが、たぶん夕方まで寝入ってしまうのではないかと思い、やはり今から無理にでも映画に行こうと。

で、渋谷に出てシネクイントで『さくらん』(☆☆★★★)。初回なので千円。
最近、『SAYURI』とか『華魁』を観ているので、これぐらいで酷いとか無茶苦茶と言う気は全く無い。むしろ、惜しいなと。脚本が良ければもっとマシになったであろうと思う。蜷川美花は、他のPV、CM出身監督と同じ様に映像を信用しし過ぎているわけではない。だから良い脚本があれば、もう少し良くなるのではないか。パンフ購入。700円。

書店で、『複眼の映像―私と黒澤明』(橋本忍)をようやく購入。文庫『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』(コナン・ドイル)、『ロマンポルノ女優』(早乙女宏美)。

阿佐ヶ谷に移って、ラピュタ阿佐ヶ谷愛欲の標的』(田中登/☆☆☆)。珍品だが、嫌いじゃない。桂千穂のミステリー趣味と巧く合ってないように思えた。崖伝いに『獄門島』をやってるのに笑う。
続いて、『丑三つの村』(田中登/☆☆☆★)。劇場で観るのは初めて。評価は変わらず。シンセが五月蝿い、田中美佐子のヒロインが巧く機能していない、大量殺戮の諸準備が原作と比べてもちゃんと描けていないのが不満など、やはりあるのだが、それらを越えて好ましいのは、やはり津山三十人殺しの正面からの映画化であるが故か。
大量殺戮映画の側にコノヒトの姿あり、の柳下穀一郎氏も観に来ていた。ダテにウチの地元で大量殺戮があった時も現場に態々行ってただけのことはある。

阿佐ヶ谷の古本屋で、『イメージフォーラム』のバックナンバー2冊。各500円。『赤い帽子の女』製作ノート掲載号と、『戦メリ』特集号。あと文庫で『今日も映画日和』(和田誠川本三郎瀬戸川猛資)300円。
『戦メリ』、81年にインしようとしていた段階のキャストは、滝田栄緒形拳で決まっていた模様。


中野ブロードウェイ、TORIOで脚本を物色していたら、横に立つ男性をフト見上げると、井口昇監督だった。しばらくして二階のDVD FIVEへ寄ると、また井口監督。ブロードウェイ内の行動パターンが同じで笑う。
シナリオ』のバックナンバー1冊と『セキ☆ララ』のプレスシート購入。各100円。

再び渋谷に出て、シアターNで『悪魔のいけにえ』(☆☆☆☆)。

しかし、よく寝ないで全部観れたものだと我ながら感心するが、帰りは流石に疲れる。

4月14日(土)
二徹を引きずって昼まで寝る。
雑用を、『シャボン玉ホリデー』を流しながらやっていたら、あっという間に夜となり、『めちゃイケ』を最後まで観てたらもう9時を回っているので慌てて池袋へ出て、年に一度のお楽しみ、新文芸坐で「第19回ピンク大賞」。
ロビーで知り合いの某女と会い、今年は結局お互い一人で来たので一緒に観る。彼女の視力の関係でかなり前方のど真ん中で見たせいで、前方の席に陣取るコアなファン達の凄さに圧倒される。彼女、「興味深いです」を連呼していた。
自分は、彼らがカメラをそっぽ向けた某『女優 林由美香』での受賞者が登壇した時だけ、ここぞとビデオを廻した。
授賞式は昨年の池島ゆたかの泥酔グダグダを警戒してか、相変わらず進行はグダグダになりつつも、テンポよく進んで行った。個人的にはあのグダグダで時間無視な展開が好きではあるのだが。
今年は国映系少ないし、女の子の比率が減るのではと思ったが、男子率は確かに高かったものの、満席で補助席、立ち見の出る大盛況。
恒例の先行販売されていた『PG』を購入。


悩殺若女将 色っぽい腰つき』(竹洞哲也/☆☆☆★)
ピンクの人情コメディが基本的に苦手なのは、ピンクに限らず難易度が相当高いからで、そうそうこちらを満足させてくれる作品に出会えないとか、現在こういった人情喜劇を見れるのはピンクだけだから、といったような理由で評価するのは間違いだと思っているせいもあるが、その中で本作は嫌じゃなかった。好感を持って観ることができた。殊に、すっかり贔屓筋の役者となった松浦祐也が怪演していたのが嬉しく、『ピラニア軍団 ダボシャツの天』での川谷拓三を彷彿とさせる精薄演技が凄い。現在見回しても、あれだけ前にグイグイ出て、食ってやろうとするピラニア演技が出来る、又はやろうとする役者は居ないので際立つ。


昭和エロ浪漫 生娘の恥じらい』(池島ゆたか/☆☆★★)
池島ゆたかの作品は全くたいした数を見ていないので、今年100本目を撮ろうとしている監督に、そう簡単に好き嫌いでモノを言っては失礼だが、自分が観た範囲の作品は毎度ズレを感じてしまう。本作も確かにしっかり出来ていて、ピンクの枠組みで考えれば悪くないものだと思うが。古めかしい日本映画の形骸を表面的になぞっただけに思えた。



絶倫絶女【一般公開題『おじさん天国』】』(いまおかしんじ/☆☆☆★★)
これで三回目だが、自分にとって、いまおか作品は見返せば見返すほど面白くなるの法則に則って、今回がいちばん面白く感じた。
藍山みなみや、平沢里菜子が、ちょっと浮き立つくらい魅力的に撮られていて、セックスは当然あるにしても、飯を食う、寝るという日常の根幹部分をオロソカにしないから、映画がどんな箇所に飛躍しても、破綻しない。


裸の三姉妹 淫交』(田中康文/☆☆☆)
三姉妹ものだが、絵の具を体に塗りたくる長女など、映画が跳ね上がるショットが幾つかあって好感を持ちつつ観た。引き籠っている妹が編集者と会うときは必ずドア越しとか姉を介してとか、信頼してるけど距離が空いてるみたいなモノで観たかった。