『東京藝術大学大学院映像研究科第二期生修了作品集 2008』

DVD 東京藝術大学大学院映像研究科第二期生修了制作作品集2008 (<DVD>)

DVD 東京藝術大学大学院映像研究科第二期生修了制作作品集2008 ()

 先日、横浜のシネマジャック&ベティで行われた「未来の巨匠たち」の初日に瀬田なつき監督の特集が組まれ、『彼方からの手紙』『とどまるか なくなるか』『港の話』『むすめごころ』『あとのまつり』が上映された。このうち、『むすめごころ』『あとのまつり』は既に観ており、殊に後者には完全に参ってしまい昨年のベストテンにも入れた。今回横浜まで出向いたのも『あとのまつり』を再見したいという思いからだったが、未見の『彼方からの手紙』『とどまるか なくなるか』『港の話』がどんなものか、特に『彼方からの手紙』が一部で随分高く評価されているようだが、実際はどんなものか。まあ、はっきり言って過剰に持ち上げすぎではないのかという思いもあったのだ。
 その結果は、結局上野の東京芸大まで『彼方からの手紙』が収録されたDVDを買いに行くハメになった。Amazonでも取り扱っているらしいが一時的に品切れになっていたので、待っていられなくなったのである。それほどこの作品には魅了され、これまで観ていなかったことを恥じた。
 瀬田作品をまとめて観ると、繰り返し同じモチーフを取り上げ磨きあげていくことで習熟していくことが見て取れる。『彼方からの手紙』は現段階でのひとつの到達であり、その流れを汲んだのが『あとのまつり』だったことがわかった。だから『あとのまつり』に惚れ込んでいるなら、『彼方からの手紙』にも当然、あるいはそれ以上魅了されてしまうわけで、即座に手元にDVDで置いておきたい欲求に駆られるのだ。
 ちなみに収録作品は

収録作品
Disc 1
『彼方からの手紙』(瀬田なつき監督) 『錨をなげろ』(船曳真珠監督) 『アンナの物語』(山田咲監督)
Disc 2
『PASSION』(濱口竜介監督/第56回サンセバスチャン国際映画祭・第9回東京フィルメックス正式出品)
『緑川の底』(吉井和之監督) 『second coming』(吉田雄一郎監督)

 となっており、『PASSION』も既に観ているが、こちらも異世界が日常に流入してくる仄かな気配を感じさせてくれる秀作だった。しかし、2枚組でこれだけ収録されて2940円は安い。