『映画秘宝 2010年8月号』

映画秘宝 2010年 08月号 [雑誌]

映画秘宝 2010年 08月号 [雑誌]

 発売中の『映画秘宝 2010年8月号』に、現在シネマヴェーラ渋谷で行われている特集上映「足立正生の宇宙」に合わせて、「日本インディーズ映画の父 足立正生を発見せよ!!」という映画監督・足立正生のヒストリーを書かせていただいています。
 全て事実に沿っていますが、若松プロでの脚本家としての活動・政治活動は隅において、映画作家足立正生を中心に、かなり個人的な史観で書いていますので異論がある方もいらっしゃるかもしれませんが、近年の若松孝二の再三の特集上映、再評価とは裏腹に足立正生は全作上映が十年に一度しか行われず、ソフト化も大半の作品がされていない状況ですので、とにかく一人でも多くの方に足立正生の作品を観ていただきたいと思って煽らせていただきました。
 それから「この足立正生を見逃すな!」という欄で、今回上映される作品の中からオススメ作品をセレクトして紹介しています。どうも政治方面で足立正生を語ると『赤軍PFLP 世界戦争宣言』や『略称 連続射殺魔』ばかりが重要視されたり、十年前の全作上映でも再評価されたのが『噴出祈願 15代の売春婦』だったりで、果たして初めて足立正生という名前に触れて足を運んだり、あるいはピンク映画を初めて観る観客が、これらの作品で続けて足立全作品を観たいと思うのかどうか、かなり疑問(風景しか映ってないからね)だったので、現代から足立作品を観るのなら、自分が十年前にようやく足立正生の全作を一挙に観ることが出来た時に最も感銘を受けた『性地帯 セックスゾーン』『叛女 夢幻地獄』『性遊戯』あたりから入るのが良いのではないかと傲慢に思い込んで、これらの作品を推させていただきました。
 尚、今回は上映されませんが、本文中で触れていた足立正生が監督した大島渚の『絞死刑・予告篇』は↓で観ることができます。

 それから、今回上映される若松作品の方は有名作が多いとは言え、未ソフト化作品の『性犯罪』は上映自体もかなり稀な作品ですのでお見逃しなく。


 それから、6月26日より公開される入江悠監督の『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』のレビューも書かせていただいています。これは上半期の日本映画の締めに相応しい素晴らしい女子青春映画です。ヒップホップに何のこだわりもない自分ですら、上映後の道を軽快に♪シュッ・シュッ・シュッ!!と思わず歌いながら帰ったという奇特な出来事が発生した作品で、入江監督のプログラムピクチャーの正しい継承ぶりは、そこらのプログラムピクチャーもどきのニセモノとは全く違うということが観ていただくと一目瞭然かと思います。