雑誌 「Invitation 8月号」

68)「Invitation 8月号」ぴあ


テレビ特集。さも、今のテレビが面白いが如き煽動は不快。ま、「きらきらアフロ」を頭に持ってくるのは正しいが。それにしても、今に至って笑福亭鶴瓶が面白いとか言いいだす媒体をチラホラ見かけるが、白けた冗談を聞かされたような気分になる。鶴瓶は十年前も二十年前も一貫して面白かったし、爆笑王だった。幼少時は何故か深夜まで起きて「突然ガバチョ」を見ていたし、中学生の頃に「鶴瓶・上岡パペポTV」を見始めてからは、毎週毎週、深夜にあまりにデカイ声で笑い過ぎて、寝ている両親が何か病んでいるのではないかと心配したぐらいで、ラジオの「つるべがおかず」の公録や、パペポ、「鶴+龍」の収録も見に行って、涙が出るまで笑った。実際、鶴瓶の一人喋りを聞くと、所構わず、何度同じハナシを聞こうが、笑い過ぎて涙が出ることが多い。
 但し、この数年迄は東京制作の番組における笑福亭鶴瓶は全く面白くなかった。鶴瓶のハナシの面白さは、長々と脱線しながらグダグダ喋ることで観客を自分の世界観に入れてしまい、オチへと持って行く面白さにあり、これが舞台の鶴瓶噺や、あるいはラジオ、テレビで、新野新なり上岡龍太郎といった鶴瓶のハナシの面白さ、構造を理解した優れた相方を傍らに得ると、更に発展していく。これが東京制作の番組の枠組みではできなかったし、鶴瓶の面白さを理解されていないから、中途半端な位置に居るしかなかったわけだが、鶴瓶も語るように、最近東京制作でも自身の企画が通るようになり、鶴瓶の面白さが浸透したようだ。
 コノヒトは計算高いし、又それを外さないから、60代半ばから後半、あるいは兄弟子の五月蝿いのが消えた頃に、松鶴襲名に向かうだろう。多少上方落語を知っていれば、小朝みたく簡単に言ってくれるなと思うが、最近になって、案外実現させてしまうように思えた。尚、鶴瓶の発言を真に受けて、最近になって初めて落語を始めたと書いてある媒体が見られるが嘘。古典も含めて年に何度かは以前からやっていた。その傾向が最近増えたというだけ。