『コミック雑誌なんかいらない』『裸足のピクニック』『下女』『火女 '82 』

(154)『コミック雑誌なんかいらない』

(155)『裸足のピクニック』

(156)『下女』

(157)『火女 '82 』

 中野ブロードウェイレコミンツ滝田洋二郎の『コミック雑誌なんかいらない』を1980円で、矢口史靖の『裸足のピクニック』を2800円ほどで購入。ちょうどレジがライターでもある加瀬さんだったので、自分は発熱で参加できなかった先日のポレポレ東中野「『あんにょん由美香』大ヒット記念オールナイト」について聞くと大盛況だった由。スニークプレビュー作品にも興奮しておられたので良かった(→http://blog.livedoor.jp/recomints_sideb/archives/51299766.html)。


 ところで、『コミック雑誌なんかいらない』は長らく廃盤の上プレミアがついていて入手できなかったので今回の廉価版発売は嬉しかったが、帰宅してHDレコーダーに入っている日本映画専門チャンネルで放送された同作と画質等を比較してみた。詳しくは知らないし、調べてもいないが、日本映画専門チャンネルはHD放送用にテレシネをやり直してHDマスターを作り直すせいか圧倒的に日本映画専門チャンネル放送版の方が画質が良い。まあDVDの方は最初に発売された際のマスターをそのまま流用しているのだろうから仕方ないのかもしれないが。確かに最近日本映画専門チャンネルHDに環境を変えたので、画質が全く違うからこれまで録画したものも全部録画し直しているような状況で、無限地獄道を歩みつつあるのは兎も角、こういったものを目の当たりにするとパッケージへの固執をそろそろ取り除かなければと思うようになることが多い。もう手元にパッケージどころか放送をHDレコーダーなりHDにプールすることすら無駄になり、必要な際にアクセスして観るということの方が早いし画質も良いという時代になりそうだ。いやもう既にほとんどそうなっている。実際、必要があってソフト化されていない東映の旧作を自室で探していたが3日経っても発見できずDVD1枚探すのにえらい労力と時間を取られて、これがソフト化されているなら借りてきて済ませるがそうではないので探し出さねばならないとDVDの山と格闘していたが、フト、ネットで探してみるとブロードバンドサイトで300円ほどで観れた。こうなってくると流石に価値観が変わってくる(整理整頓してれば良いじゃないかと言われればそれまで)。
 それはそれとして、驚いたのは今回のDVD版が短縮されていたことだった。オリジナルよりも7分ほど短くなっていて、具体的にはアシスタントと内田裕也のセックスシーンと日航機墜落現場に内田が出向くシーンがバッサリ切られている。そういえば最初のDVD化の際にも短縮されていて云々という話を聞いたことがあったのを思い出したが、特典仕様だと本篇に組み込んでノーカット版で観れるとか聞いていたのと、先日の放送版がノーカットだったので、同じように考えてしまいよく確認せずに買ってしまったが、今回の廉価版は特典は全てカットされているので本篇は短縮版のみの収録である。しかしジャケットを見てもその旨の断りは一切なく例の不適切な表現があるが「製作当時の内容のまま収録いたしました。」という虚偽記述が堂々と書かれている。こんな商品出してメーカーはシェケナベイビーに何かされても知らんぞ。しかし、日航機事故のリアル『クライマーズ・ハイ』なシーンは映画の中でも主人公の行動に変化をもたらす、またあの年の最も大きな出来事だっただけにカットして良いものなんだろうか?
 『裸足のピクニック』は矢口史靖のPFFスカラシップ作にして商業映画デビュー作。次の『ひみつの花園』が心底好きなのだが、この作品は作品の完成度にかなり疑問があって、一応矢口作品はDVDを集めているのにこれだけ購入が遅れていたが特典が例によって凄いし、以前廉価で出た際に安い内に買っておかないと、と思っていたままだったので、適度な価格だったので購入。


 帰宅すると、注文していたキム・ギヨンの『下女』と『火女 '82 』が届いている。 
『下女』は大好きな作品でアテネ・フランセでも最近再見したが、2年前に初めて観て以来、これですっかりキム・ギヨンに魅せられた。昨年の東京国際映画祭ではキム・ギヨンの特集に通うべくチケットを大量に購入していたのに事情があって全てパーにしてしまった恨みはあるものの、また観る機会もあるだろう。『下女』は韓国で発売されたDVDだが、リージョンフリーで日本語字幕も付いている上、フィルムが修復されたバージョンでの収録だそうで、画質をチェックしてみたがこれが素晴らしい高画質。特典もフィルムの修復前と後を同一画面で比較できるようになっていたりと充実している。自分は早速大好きな↑画像の、きつね大回転ならぬ子供大回転シーンを繰り返し再生したり前後からコマ送りしたりして楽しんだ。 購入は、YESASIAで可能
 『火女 '82 』は未見。こちらは日本語字幕が付いてないのでパスしようかと思ったが『下女』のセルフリメイクと聞けば買わないわけにはいかず。こちらも、YESASIAで購入可能

NIKKATSU COLLECTION コミック雑誌なんかいらない! [DVD]

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裸足のピクニック [DVD]

裸足のピクニック [DVD]

『シナリオ別冊 作家を育てた日活ロマンポルノ シナリオ選集』

 『シナリオ』誌で2007年5月号〜12月号までの間で7回に渡ってロマンポルノ執筆経験のある脚本家が自選形式でシナリオを再録した「作家を育てた日活ロマンポルノ研究」が『シナリオ』の別冊形式で発売されたので購入。
 これはシナリオ、ロマンポルノを学ぶ上でこの上ない教科書、資料になるだろう。何せ、現在新刊でロマンポルノのシナリオ集が発売されることなど通常の出版社ならありえないことだ。これまで読みたいロマンポルノのシナリオは、古書店をマメに回って『シナリオ』のバックナンバーやかつては幾つも発売されていた作家別シナリオ集などに当たって入手していた。『(秘)色情めす市場』のシナリオがどうしても欲しくて、ようやく『シナリオ』のバックナンバーを入手して書き写したりしたが、あまりに持ち歩いて読んでいたものだから元来古本で状態が悪かったのに余計ボロボロになってしまったこともあっただけに、こうして新刊で発売されたのは嬉しい。これで幅広い層が手に取ることができる。
 参考までに『シナリオ』誌に掲載された号と収録作品の違いも付記しておくと、

『シナリオ 2007年 05月号』→『色情妻 肉の誘惑』(桂千穂
『シナリオ 2007年 06月号』→『牝猫たちの夜』(中野顕彰
『シナリオ 2007年 07月号』→『淫獣の宿』(中島丈博
『シナリオ 2007年 08月号』→『おんなの細道 濡れた海峡』(田中陽造
『シナリオ 2007年 09月号』→『新宿乱れ街 いくまで待って』(荒井晴彦
『シナリオ 2007年 10月号』→『レイプ25時 暴姦』(白坂依志夫桂千穂
『シナリオ 2007年 12月号』→『SM教室・失禁』(加藤正人)

 連載時は以上の通りだったが、まとめるにあたって『色情妻 肉の誘惑』『レイプ25時 暴姦』が外れて、新たに『一条さゆり 濡れた欲情』『(秘)色情めす市場』『赤い花弁が濡れる』『さすらいの恋人 眩暈』『ズームアップ 暴行現場』が加わった。

『シナリオ別冊 作家を育てた日活ロマンポルノ シナリオ選集』



[はじめに]人材の供給源ロマンポルノ 桂千穂
日活ロマンポルノの全貌  北川れい子
[対談]佐々木志郎×桂千穂


[エッセイ・解説/日活ロマンポルノの頃]
中野顕彰  男祭り
佐藤忠男  「一条さゆり 濡れた欲情」
中島丈博  にっかつスエーデンポルノの想い出
結城良煕  いど・あきお+田中登で燃えていた頃が懐かしい
白坂依志夫 フェラチオ
荒井晴彦  俺のゴールデン街『新宿みだれ街 いくまで待って』
桃井章   荒井晴彦と出会った「あの日」
大工原正泰 さすらいのロマンポルノシナリオ
桂千穂   私と日活ロマンポルノ
野村正昭  田中陽造―闇の中でちろちろと燃える鬼火のように
加藤正人  最終電車に飛び乗って


[シナリオ](公開順)
牝猫たちの夜   中野顕彰
一条さゆり 濡れた欲情   神代辰巳 
淫獣の宿   中島丈博 
(秘)色情めす市場   いど・あきお 
赤い花弁が濡れる   白坂依志夫 
新宿みだれ街 いくまで待って   荒井晴彦
さすらいの恋人 眩暈   大工原正泰
ズームアップ 暴行現場   桂千穂 
おんなの細道 濡れた海峡   田中陽造
SM教室・失禁  加藤正人  


日活ロマンポルノ全作品リスト