映画

1) 東海道四谷怪談 (NECO) ☆☆☆☆

東海道四谷怪談 [DVD]
東宝 1959年 カラー 新東宝スコープ 76分
監督/中川信夫 出演/天知茂 若杉嘉津子 江見俊太郎


7年ぶりの再見となったが、一層素晴らしく感じた。
日本映画史上に残る傑作。
末期の新東宝で、1時間16分に凝縮された四谷怪談の世界を、中川信夫は1カットたりとも無駄のない研ぎ澄まされた映像美で見せる。後半は正に幽霊を見せるための素晴らしいショットが続くが、それ以前の何気ない会話シーンすら恐ろしい。殊に帯を干した干竿の下で話す伊右衛門と直助を煽りで捉えたショットでの二人の上から垂れる大量の帯すらも恐ろしいのは何故か。
この作品は繰り返し観て全てのショットを解析したい。
「リング」や「呪怨」程度のレヴェルでもてはやされる昨今、ここまで真摯に幽霊を描いた作品には感嘆せずにはいられない。

2) 007/サンダーボール作戦 (LD) ☆☆☆★★

007/サンダーボール作戦 特別編 [DVD]
1965年 イギリス ユナイテッドアーチィスツ カラー シネマスコープ 129分
監督/テレンス・ヤング 出演/ ショーン・コネリー クローディーヌ・オージェ アドルフォ・チェリ


9年ぶりの再見。
ドクター・ノオ」「ロシアより愛をこめて」「ゴールドフィンガー」という傑作の連打に続く4作目は、やはり失速している。
以前観た印象と変わりはなく、コネリー=ボンドで監督がテレンス・ヤングだけに手馴れたものだが、場所移動も少なく、水中アクションという間延びしてしまうものが主の為、これまでの作品ほどの面白味に欠ける。以前も気になったがラストシークエンスで、肝心の原爆がいくら起爆装置を外しているからと言って、爆破したボート内にあって平気なのか、又共に海に飛び込んだ医者がどうなったかを描かずに、いつもの如くコネリーとヒロインが颯爽と救い出されてENDマークでは、エンターテインメントとして片手落ちだと思う。
とは言え、相変わらずの楽しさに満ちた作品ではある。