書評

1)「砂をつかんで立ち上がれ」中島らも (集英社文庫) ☆☆☆★★

砂をつかんで立ち上がれ (集英社文庫)
 久々にらものコラムを読んだが、相変わらず楽しめる。

2)「日本の黒い霧(上)」松本清張 (文春文庫) ☆☆☆★★

下山事件」(森達也)を読んで下山事件に興味を持ち、タイミング良く文庫が別会社から再販された「謀殺 下山事件」(矢田喜美雄)を読み、更にそれ以前に書かれた本作に行き当たった。本来なら全く逆順に読まねばならぬところだが仕方ない。
 本作では、戦後間もない時期に起こった怪事件をオムニバスで取りあげたものの上巻で、下山事件以外にも、名だけは知っていた「もく星号遭難事件」「二大疑獄事件」「白鳥事件」等の実際を知ることができた。
 しかし、所詮アームチェア・ディテクティヴなので、推理に無理があることも多く、安易な陰謀説が多用されすぎていたりもするのが難点。