書籍

1)「大島渚1968」大島渚(青土社) ☆☆☆☆★

大島渚1968

 読了。「大島渚1960」に続く本作が何故「大島渚1968」なのかというと、後年は寡作になった大島も、作るべき時には量産している。殊に年間3本も撮った年が2回あり、「青春残酷物語」「太陽の墓場」「日本の夜と霧」を撮った1960年。そして「絞死刑」「帰ってきたヨッパライ」「新宿泥棒日記」を撮った1968年。それぞれの年に製作された作品に主眼を置きながら、その前後の作品をも語る構成になっている。
 「愛と希望の街」から「日本の夜と霧」迄を語った前回に比べて、語る作品が多いことから濃密さに欠ける嫌いはあるのだが、それでも個人的に偏愛する「日本春歌考」と「絞死刑」が技法も含めて詳細に語られるのは嬉しかったし、初めて知る事実も多く、今後繰り返し読まれて大島を語る上で欠かせない一冊になるだろう。