雑誌

1)「キネマ旬報 9月上旬号」 キネマ旬報社

 篠田昇野沢尚の追悼ページが少なすぎ、全く映画誌としての機能を果たしていない。「追悼芸術」の異名を持つ「映画芸術」に任せているだけではイケナイ。とは言え、前者は岩井俊二行定勲和田誠、後者は奥山和由等と適材なヒトがコメントを寄せていて悪くはないのだが。 
 中でも、岩井が篠田と感情的縺れがあったことを告白しているのは興味深く、「四月物語」(1998)から「リリィシュシュのすべて」(2001)迄、劇映画としては一貫してコンビを組んでいたが、その間の5年間、CM、PV等で篠田と組むことはなかったという告白と共に思い返せば、そういえばと思い当たったが、このコンビにそういった時期もあったのかという驚きがあった。24Pを導入してからが、二人の絆が強まり、「花とアリス」に到る作品を生み出せたという岩井のコメントからは、篠田亡き後も、篠田から学んだことを糧にして更に新たなる作品を生み出していくだろうという期待を抱かせた。
 奥山Jrは野沢に三年前脚本を書かせておいて映画化できていない事実を告白しているが、コノヒトは野沢降板版「RAMPO」といい、深作×野沢作品といい、全く野沢の期待に応えないヒトなので当てにはしていないが、罪滅ぼしに一本ぐらいマトモな作品を作って、映画では恵まれなかった野沢脚本を生かしてほしい。

 

 鈴木清順の新作「オペレッタ狸御殿」の撮影現場ルポが掲載されていたが、ようやく主要スタッフがわかった。撮影が「ピストルオペラ」に続いて前田米造(個人的には清順の世界を撮るにはあまり適格ではないと思ったが、日活出身なのでセット撮影が主となる近作では信頼されているのだろう)、美術は当然、木村威夫なのは良いとして、脚本が浦沢義雄なのには驚いた。浦沢義雄と言えば、近年では「ボボボーボ・ボーボボ」「パラッパラッパー」「はれときどきぶた」「激走戦隊カーレンジャー」「忍たま乱太郎」「らんま1/2」「デジモンアドベンチャー」等で名前を見かけた記憶がある程度で、アニメ脚本家という印象しかなく、「ピストルオペラ」の伊藤和典にしても、アニメ脚本家の起用が鈴木清順の作品に有効に作用しているとは言い難いことから、期待できるものかと思っていたが、浦沢義雄の経歴を見ると、大和屋竺に師事し、「ルパン三世」を共に手掛け、清順作品には「結婚 陣内・原田御両家篇」で既に脚本を担当している。だから安心とは「結婚」の完成度を見る限り全く言えないが、血統的には正統であり、大和屋竺亡き後の清順作品の脚本を担当するには、伊藤和典などよりよほど相応しい。個人的には田中陽造にこそ、と思うのだが、「夢二」の一件が尾を引いているのか。

 
 角川春樹の復帰作、「男たちの大和」の脚本は野上龍雄。正に東映で固められているが、15億も出す角川が何故東映スタッフで固めたのかは疑問。しかし、わけのわかわんヒトに戦争映画の脚本を書かせるよりも、大ベテランの方が、初歩的ミスがなくて良いかもしれない。因みに野上の角川映画の係わりは「悪魔が来りて笛を吹く」と「魔界転生」の2作。  
  

2)「DVDぴあ 9月号」ぴあ株式会社

 

3)「HiVi 9月号」