展示

molmot2004-08-22

1)「江戸川乱歩と大衆の20世紀展」

 東武百貨店池袋店で開催中の「江戸川乱歩と大衆の20世紀展」に行く。日曜ということもあり、かなり盛況。そのせいで展示をじっくりとは観難かったが、個人的には乱歩の生原と伝説の「貼雑年譜」を実際に見ることができたのが感動的で、これを見ただけで来た甲斐があった。
 続いて立教大学まで足を延ばし、先頃立教に移譲された旧江戸川乱歩邸の見学に向かう。立教大学へは初めて行ったが、立教と言えば黒沢清を筆頭にしたパロディアス・ユニティ、という偏った想起しか思い浮かばない自分への嫌悪を抱きつつ、周防正行、篠崎誠、青山真治塩田明彦森達也等を輩出した特異な学校であり、勿論その中心に蓮實重彦の存在があったわけで、映画学校以外で、こういった特異性を持つ立教大学への興味は尽きないが、それはまた別のハナシ。
 講堂で1時間近く待たされた後に、隣接する旧江戸川乱歩邸内に通される。家屋には、これまた伝説の応接間が公開されており、ここで小林信彦が乱歩死去の際、出棺を待ちながら谷崎潤一郎の死去の報を聞いたのかと感慨深い思いに。応接間から振り返ると、あの土蔵が聳え立っている。しかし、待たされている間に見せられた土蔵改修工事ビデオにもあった通り、一度バラして瓦も葺き替え、壁も見覚えのある白壁から、下に潜んでいた最初の塗りの色に戻されている。公開用としてはそれで良いのだろうが、個人的には、朽ち果てた姿にこそ乱歩的ニオイが感じられて良かったのに、と思う。土蔵の公開といっても入口から僅かのスペースしか立ち入ることはできず、ガラスで厳重にガードされている。しかし、奥まで連なる蔵書の数々を見ているだけで心地良く、正に理想的空間だと思った。ズラリと並んで矢継ぎ早に通過するだけなので、一瞬しか見ることはできなかったが、子供の頃より憧れていた江戸川乱歩の土蔵を見ることができて幸せだった。