雑誌 「映画芸術 410号」

13)「映画芸術 410号」 編集プロダクション映芸

 2004年度ベスト10&ワースト10号。ベストは以前転載したが、肝心のワーストも書き写しておくと


1位  世界の中心で、愛をさけぶ行定勲
2位  隠し剣 鬼の爪山田洋次
3位  死に花犬童一心
4位  きょうのできごと行定勲
4位  誰も知らない(是枝裕和
6位  デビルマン那須博之
7位  赤い月(降旗康男
7位  スチームボーイ大友克洋
9位  いま、会いにゆきます土井裕泰
9位  血と骨崔洋一

 
 とのこと。セカチュー効果で、行定勲山田洋次北野武原田眞人熊井啓同様、仮想敵として認識されてしまった模様で、佳作の「きょうのできごと」までがワースト入り。これで行定は今後何を撮っても映芸のワースト入りすることは間違いない。
 「世界の中心で、愛をさけぶ」に関しては、桂千穂の指摘する嵐の最中に難病の衰弱した少女を連れ出す非常識さに完全に同意するが、このゴミの様なハナシを演出と撮影、照明の力で見せてしまった技量こそを評価して欲しいと思うが。
 「きょうのできごと」を批判するなら、クジラという根幹に据えられた異物と交錯するエピソードの処理における失敗点をいくらでも指摘できる筈だが、上野昴志が「ブスは死ね!」とワースト理由を要約している一語に続く、物言い、振る舞い、他者不在の甘えぶりが、救い難く醜い、と書き連ねているのは、こーゆー若い女が嫌いだというだけで、行定がそれに批判点を持たず迎合していると怒っているが、そんなオヤジの説教めいた蛇足のつく映画は観たくない。
 荒井晴彦のベストは「ココロとカラダ」「ガールフレンド」「ザ・ゴ−ルデン・カップス ワンモアタイム」「ユダ」「濃厚不倫 とられた女」(各10点)、「ともしび」(5点)。ワーストは「誰も知らない」下妻物語」「血と骨」「隠し剣 鬼の爪」「ハウルの動く城」(各10点)、「たまもの」(5点)と、相変わらず反骨精神剥き出しで好感が持てる。ワーストに挙げられている作品はハナから荒井が気に入るわけがないと思っていたので。
 しかし、編集後記で京急のシナリオコンクールについて2ちゃんに書き込まれたものを京急の担当者である荒井の同級生から荒井にプリントアウトしたものを送付され、荒井が激怒しまくる件は失笑する。これまでも散々書き込まれていたのだから、今になって何を騒いでいるのかと。大体、荒井も書いているように、そんなものを送付してくる奴こそが非常識であり、初老の連中の空騒ぎにしか見えない。因みに、この編集後記をまとめたものが今秋青土社より出版されるそうで、その他の荒井の文章も纏めて欲しい。又、今年公開の廣木隆一×寺島しのぶの新作脚本も荒井が書いているようなので、数年前の3年ほど新作が無い頃に比べると毎年精力的に活動し、新作脚本で映画が完成しているのはいくら予算規模が小さかろうと嬉しい。これで「神聖喜劇」の映画化が進めばと思う。