映画の噂 「伝説の生駒コレクター死去」

molmot2005-02-15

 
 映画好きの間で、現存しないフィルムを個人所有しているコレクターの存在のハナシというのはよく耳にする。曰く黒澤明の「白痴 完全版」、溝口健二小津安二郎等の失われた戦前の作品、そして山中貞雄の作品があるという‥
 その中でも最も有名なのが生駒在住のコレクターで、上記リンクにもある様に、とんでもないものがでる可能性がある。しかし、映画マニアというのは基本的に大法螺吹きでもあるので、ハナシ半分に思った方が良い。大体、誰も見せてもらっていないのだから。しかし、PLANET studyo plus one で上映した「黄金の弾丸」など、関西でレアなものが突如出たりした際に出所がコノヒトだったりする。
 京都映画祭でロシアで発見された「爆弾花嫁」など数本を纏めて観た際だったか、山根貞男が、国内のコレクターの中には、幻のフィルムを勝手に編集して自身を映したフィルムとカットバックしたものにしてしまい、台無しにしてしまうヒトも居ると聞き、何としても死ぬまでに絶対に観たい未だ観ぬ、小津や溝口、成瀬、山中の作品が、そのような扱いをされていたり、或いは自分が死ねばフィルムも一緒に燃やせと言うようなコレクターの基にあったら、などとあらぬ考えに気を揉むこともあり、テキトーに目に付くヒトを殺したりするような奴は、持っていると言いながら出さないフィルムコレクターこそ殺れ、と。これは意義のあるテロルであるなどと、とんでもない妄想すら抱きかけていたが、そういう意味で、自分が生きている間は誰にも見せないと言っていた生駒コレクターが死んでくれて、申し訳ないが大変良かった。心配していたのは遺族によって封印される可能性だったのだが、これまた幸いなことに身寄りがなく、目出度く文化庁の調査が入ることになった。これで後は、盗難等に遭わないように気をつけてもらって、早急の調査結果を待ちたい。できるだけ期待しないようにしているが、もし、本当に言葉通りのものがでてきたら、戦前の日本映画史は完全に塗り替えられ、映画史において空前の発見ということになり、ココロの片隅で現実化することを願うのが、夢があって良い。
 確かにフィルムセンターに所蔵されるのが最上ではあるのだが、その分ソフト化できないというのが痛し痒し。