イベント 「Howling in the Night2005〜押井守、《戦争》を語る」

molmot2005-02-26

2)「Howling in the Night2005〜押井守、《戦争》を語る」 (アカデミーヒルズ)

出演/押井守 岡部いさく 樋口真嗣


 毎年226に行われている押井守の戦争を語るトークショーで、今回が4回目となるが、これまでは226に開催日が決まっているので、平日ということもあり参加できなかったが、幸い今年は土曜且つ樋口真嗣も参加するということで、行くことにする。
 14時開演から18時半まで、実質4時間ひたすら押井守が喋り倒すという三千円の入場料が十分モトが取れる濃密な内容で非常に満足できた。
 前半は現在の世界情勢における戦争について押井守岡部いさくが、ミリタリーオタとしてディテイルから捉えていく。はっきり言ってこのイベント、濃密なミリタリーか映画アニメのどちらかに、それなりの知識がないと交わされる内容の8割は理解できないので、個人的にはミリタリー方面はさっぱりなので、専ら映画アニメ方面のハナシを聞いていたが、こういう席ということもあり、ハナシがあちこちに脱線しながら、押井守が自作について漏らす発言に興味深いものが多かった。殊に例の押井ルパンについて、東京で核をめぐる塔があって、というのは以前どこかで聞いたことあったが、核を如何に爆発させるかという点について、落下を用いるハナシは面白かった。実現していれば「太陽を盗んだ男」以来の原子力エンターテインメントになったのにと思う。
 質疑応答で、新作について問われ、例の映画化が噂されていた「立喰師列伝」の映画化が昨日正式にゴーが出たそうで、今年の東京ファンタでの上映目指して製作するとのことである。気になっていた実写か、アニメかCGアニメかという点については、「実写でアニメーションする」ということで、ようは「ミニパト」の実写版という趣になる模様。個人的予想では、連続スチールで割り箸さして動かすのではないかと。出演は原作に準ずるので、樋口真嗣鈴木敏夫の出演が決まっているとのこと。予算も非常にローバジェットで、ということで当然「50 WOMAN」的モノになるのだろう。
 又、フランスの短編に参加するという噂についても、「フランス人の嘘つき」という言葉と共に、今年は「立喰師列伝」に集中する旨が語られた。
 質疑の中に三島由紀夫についてどう思うかを問われ、自らの三島感を語ったのは、非常に興味深かった。
 中盤に「イノセンス」の台湾ロケハン、愛知万博の「めざめの方舟」のパイロット版、「ローレライ」のプロモーション映像等が流れた。「めざめの方舟」については、全く予備知識がなかったが、「イノセンス」以降の人形への傾倒が反映されている作品になっている模様で、完成作品が観たいと思わせる。
 後半は樋口真嗣を招いて「ローレライ」を中心にしたハナシとなるが、「東京SCANER」の当初の企画に樋口真嗣も参加しており、焦土と化した東京をミニチュアで再現し、CCDカメラで観れるものだったという。又、例の90年代前半に押井監督、伊藤和典脚本、樋口真嗣特技監督で企画された新たなTV特撮ヒーローもの「NEXT」についてもその関係が語られ、「NEXT」は情報が少ないののでかなり興味深かった。本来は、この場でパイロット版(極初期のイメージ映像と思われる)が上映される予定だったが、バンダイから許可が下りず、断念したとのことで残念極まりない。
 「ローレライ」について押井守らしい突っ込みを入れつつ4時間に渡る濃密なトークショーは終わった。


 因みに埒もないことを書き連ねれば、物販コーナーで自ら売り子をしていた甘木モリオを見かけた。旧名南里幸という平成ガメラシリーズや、「新世紀エヴァンゲリオン Air/まごころを君に」の実写パートプロデューサーを担当以降、庵野秀明の実写作品のプロデュースを一貫して手掛けている。カンパニー松尾が監督した「ラブ&ポップ」のメイキングや、庵野秀明が総監督を務めた「ガメラ3 邪神覚醒」のメイキング「GAMERA1999」でその姿が見受けられる。今回の「ローレライ」のプロデュースもしている。ただ、「ガメラ3」で金子修介と揉め、樋口真嗣は好きだが、同時に職人監督である金子修介をも支持したい自分としては、甘木モリオはどーよ、という思いがあり、何故改名したのかと聞きたい気も。


■同行した友人のレポ→「Howling in the Night2005〜押井守、《戦争》を語る」感想