映画 「アレキサンダー」

molmot2005-03-11

33)「アレキサンダー」[ALEXANDER] (Tジョイ大泉) ☆☆★★★

2004年 アメリカ カラー シネスコ 173分 
監督/オリヴァー・ストーン  脚本/オリヴァー・ストーン クリストファー・カイル レータ・カログリディス   出演/コリン・ファレル アンジェリーナ・ジョリー ヴァル・キルマー アンソニー・ホプキンス ジャレッド・レトー

 

 オリヴァー・ストーンは案外好きな監督なので、「トロイ」などより遥かに期待したのだが、事前の評判が至って悪く、危惧したのだが、確かに致命的な欠点を幾つも抱えている作品ではあった。
 言わずもがなのことを言えば、3時間近い上映時間は無駄としか言い様が無く、スペクタクルシーンと退屈極まりないディスカッションシーンが、ずーっと交互に繰り返されるので疲れる。
 開巻からアンソニー・ホプキンスが延々回想するのだが、これがまた長い。いつまで喋っているのかと思うほどで、ようやく本編に入ったらと思ったものの、幼少時から青年期の父との対立までが描かれ、さあ、そこから父の死から王に就任して征伐へと向かうという映画の前段階の重要な要素となる描写が、地図をバックにナレーションで一気に説明してしまうので呆れ果てたものの、以降のスペクタクル描写は、かなり興味深かった。所謂ハリウッド特有の誰が撮っても代わり映えしないクレーン多用の映像と異なり、伊丹十三並の物凄いクローズアップや、スペクタル映画では見かけないサイズの画がかなりあり、面白かった。又、残虐描写をかなり意識的にやっているのが良く、血や贓物をしっかり見せているのは好感を持った。
 後半、前半の例の父の暗殺が「JFK」ばりに描写され、こんな構成の悪い映画で、変な伏線の張り方をしているので驚いたが、効果を上げていたとは言い難い。
 アレキサンダーホモセクシャルであるという定義は良いのだが、やるなら、もっと徹底した描写か、繊細な僅かに妖しさを感じさせる色気が欲しかったが、それをストーンに求めるのは無理か。
 全体としては水準以下の出来だが、残虐描写を入れたのは好感を持った。