雑誌 「Invitation 6月号」「文學界 6月号」

48)「Invitation 6月号」 ぴあ
49)「文學界 6月号」文芸春秋


 49)「『カイエ・デュ・シネマ』六百号記念 時代劇では、恥ずかしくなく遊べる  北野武(聞き手=蓮實重彦)」目当てに購入。北野の喋りが全て「私」「〜なのです」調に統一されていて笑う。カイエに載ったインタビューを訳したからか。
 ハスミンや山根貞男が未だに北野武を過大評価しているのは、単なるミーハー的な北野と蜜月関係を続けたいだけでしかないと思っている。「ソナチネ」をピークに「みんな〜やってるか」を例外に「キッズ・リターン」で、北野武の全盛期は終了しており、「HANA-BI」は、これまでの総集編を大衆向けにわかりやすくしただけで、つまらない説明的科白が増えたのも興醒めだった。とは言え、作品の質は未だ高く、続く「菊次郎の夏」も同様の不満は抱えつつも佳作ではあった。決定的に駄目になったのは凡作「BROTHER」で 、「ソナチネ」で一度総集編をやったヒトが、「HANA-BI」でまたやり、「BROTHER」でもまたやってるという馬鹿らしさだった。そして「dolls」という空恐ろしくなる愚作を作ってしまい、「ソナチネ」「キッズ・リターン」「あの夏、いちばん静かな海。」「3-4X10月」「その男、凶暴につき」という順序で個人的に偏愛する諸作にあった素晴らしさは、完全に消えてしまった。最新作の「座頭市」は、悪いとは言わないし、ある程度面白くはあったが、リメイクという手段による延命が功を奏したというところで、熟練のプロの手による時代劇なら、「雨あがる」や山田洋次の時代劇の方が技術、ハナシの転がし方にしても遥かに面白い。とは言え、現在撮影中の新作には、今度こそ挽回してほしいと思う。