古本 「季刊リュミエール (6)」「白井佳夫の映画の本」

16)「季刊リュミエール (6)」(筑摩書房
17)「白井佳夫の映画の本」白井佳夫話の特集社) 

 神保町に寄ったついでに16)を購入。もう半分以上揃ったので、あまり値段は気にせず、状態も良かったので二千円でも気にせず買う。D・W・グリフィス特集。ハスミン、山田、淀川トリオが語る。意外だったのは、おすぎが執筆していたことで、ハスミとは淀川を中心に置きつつ疎遠と思っていただけに意外だった。
 17)の白井佳夫は全く好きではなく著作も買ったことがなかったが、ま、500円なので何の気なしに買う。ところが後で表紙をめくると、『田山力哉様 白井佳夫』という直筆が(!)。何のことはない、白井佳夫が故田山力哉に進呈した本を買ってしまっていた。田山力哉は好きな映画評論家だったが、1997年春に亡くなった。それから8年、彼の蔵書が古書店に流通してしまっているのかと、複雑な心境になる。中学・高校頃、最も好きな映画評論家だった田山力哉を思い出す。
 にしても、白井佳夫で何が嫌いって、流石に最近は言わなくなったが、2,3年前まではどんな短評でも、必ず『カラー・ワイド』という言葉が入るのが嫌だった。ヴィスタなりヨーロピアヴィスタなり、シネマスコープなりどんなサイズでも、『カラー・ワイド』で纏めてしまう馬鹿の一つ覚え。
 本書はキネ旬での記事を中心に収録。殊に「ザッツ・エンターテインメント」の対談が出色で、白井以外に、淀川長治双葉十三郎野口久光小林信彦という凄い布陣。ところがほとんどが淀川長治小林信彦が二人で喋り倒すという‥この二人の関係が不思議だった。「ヒッチコックマガジン」編集長時代から付き合いがあり、ヒッチコック来日時の対談にも二人は参加しているが、後年の小林信彦は、ある時期から淀川長治を、あまり良く書かなくなった。死去の際も一切書いていない。ただ、読めばこの二人は我儘さと言い、良く似ている。だから近親憎悪か。小林が大橋巨泉が嫌いなのも似ているからだろう。