映画(TV番組) 「欧州から愛をこめて」「オズの魔法使い・最終回」「私がつくった番組 美輪明宏のサヨナラ丸山明宏」「私がつくった番組 『「赤塚不二夫の激情NO.1!』」

スゴバン すごい番組がありましたーテレビマンユニオン レトロスペクティブPART1
83)欧州から愛をこめて (ライズX) ☆☆☆★

1975年 日本 カラー テレビマンユニオン日本テレビ スタンダード 
演出/今野勉  出演/仲代達矢 伊丹十三

 伊丹十三テレビマンユニオンの関係は、映画監督になってからもメイキングをユニオンに発注したりと、生涯に渡って続いたわけだが、その蜜月期の代表作が、この「欧州から愛をこめて」で、歴史を再現ドラマとドキュメンタリーを融合させて描く先駆けとなった作品で、ずっと観たかった。
 あれだけ流暢に喋れる伊丹が、詰まったり、どもってしまうのは、伊丹による作為なのか。(続く)

84)オズの魔法使い・最終回 (ライズX) ★★

1975年 日本 カラー テレビマンユニオン日本テレビ スタンダード

 『立体テレビ』という触れ込みで、入場時に立体メガネを渡されたので期待したが、観ればわかるように、何のことはない2箇所程、立体用に加工しているだけで、流石に全編やるわけにはいかなかったか。ま、やれば放送事故扱い受けるわな。
 監修が寺山修司だが、特に資料以上のものではなく、幼児向きの泥臭い出来。

85)私がつくった番組 『美輪明宏のサヨナラ丸山明宏』 (ライズX) ☆☆☆

年 日本 カラー テレビマンユニオン東京12チャンネル スタンダード 
演出/佐藤輝    出演/美輪昭宏

画像はid:shimizu4310さんより転載
 これは、もうアヴァンギャルドと言うか、アンダーグラウンドなショーを見せられているようなもので、終了後のトークショー真島理一郎が、デビット・リンチの映画を観ているみたいと評したのは至言だ。何せ司会が小さいオッサンである。子供の頃までテレビで小人はよく目にしていたが、ある時期から登場しなくなってしまったことを思い返す。
 小さいオッサンと、美輪昭宏(子供の頃に「黒蜥蜴」か何かのパーティで、江戸川乱歩三島由紀夫寺山修司大江健三郎石原慎太郎と並んだ写真を目にして以来、偉人と認識した)という並びだけで、もう後ろのカーテンはベルベットに違いないとも思ったが、どこまで計算なのか、実にヘンな番組だった。
 個人的に一番ツボだったのは「オーソレミヨ」を高らかに歌い上げる美輪のバックに何故か50人程オバハンが壇に座っており、しかも全員スイカを食っているのである。で、カメラは各オバハンが必死でスイカを食っている様をインサートで寄るのである。まったく意味がわからない。
 軍歌を唄う美輪というのもまた凄く、あの顔で軍服着て、手前には向日葵、奥には黒白の幕が張られているという寺山な世界が広がっていた。
 笠被ったオバハンの大群が出てきて美輪を追い詰めると上から鉄格子が落ちてきて、美輪を閉じ込める、といった次に何が起こるか全く想像できない。これをテレビマンユニオンが製作し、いくら伝説に聞く東京12チャンネル無法地帯と言えども凄すぎる。
 余談だが、そういう意味では現在は東京MXが無法地帯ではないか。談志の番組で、『支那人よ、満州を返せ』と言ってた。

86)私がつくった番組 『「赤塚不二夫の激情NO.1!』 (ライズX) ☆☆☆☆

1973年 日本 カラー テレビマンユニオン東京12チャンネル スタンダード 
演出/佐藤輝    出演/赤塚不二夫 青山ミチ 佐々木守 中山千夏 三上寛 キャロル 西村小楽天 牛次郎 高信太郎 石川社中 佐藤允彦とシャドウマスク/

画像はid:shimizu4310さんより転載

 自分の世代では、タレントとしての赤塚不二夫の全盛期は知らない。物心ついた時には、時折ヴァラエティに出る漫画家という認識だったし、むしろ小学校3年生の時に銀河テレビ小説で「まんが道」がドラマ化され、そこからトキワ荘関連に手を伸ばしたという感がある。
 70年代前半に赤塚不二夫が、TVのレギュラー5,6本を抱え、月に2,3本の特番が組まれるような、彼の珍芸が持てはやされた人気タレンント時代があったということを、半ば伝説的に聞かされているくらいで、彼のタレント時代の映像というのは観たことがなかった。
 今回の特集で実際に目にする機会が訪れ、最近でも有数の衝撃を受けた。はてなは、自分自身の記録のために書いているのであり、他人に何かを推奨したり、どうこう言う気は更々無いが、現在TV、映画、ま、インディーズ映画、自主映画なども含めて関わっている方で、自分はこんなにも過激なことをやっているとか、クダラナイことをやっていると自負する方、または観客としてそう思って観ている方に是非観て頂きたい。(水曜に再映される筈だが、当日券が残っているかどうか)いかに現在のテレビがつまらないか、又、過激だとか、ナンセンスなことをやっていると称している各種映像が上品な上辺だけのものかということが、物凄く良くわかる。
 1973年の「私がつくった番組」で赤塚不二夫がホストを務める回である本作は、赤塚不二夫のタレント全盛期を見る上での貴重な資料であるが、開巻でカメラは天井の照明を画面の1/3程入れつつ、俯瞰の画でスタジオを見せる。スタジオには既に笠を被った音頭系のオバハンが30数人と、バックにはオケが控える。司会の男が、前説をやっているのを、今度はカメラは煽りで、半円を描きつつその半円を忙しなく往来させながら捉える。司会の男が、『日本人の心、童謡を赤塚不二夫が唄います』と言った直後、ちょっとした台に小太りの丸縁サングラスをかけた赤塚が登場し、表情一つ変えずに♪きんきんきらきら夕陽が沈む〜と朗々と歌い上げるのである。曲が進むにつれてテンポは速くなり、バックのオバハン達も踊り狂うわけである。
 観ていて、これは一体何なのだろうと。旦那芸ではあるが、それだけで片付けるわけにはいかないモノがある。
続いてセーラー服を着た赤塚が、やはり丸縁サングラスで(以降ラストまでかけたままである。数年後にタモリが赤塚の居候となることを考えると原型みたいな感がある)外人の姉ちゃん達と騎馬戦やっている様が映し出され、当然というか、もうハナからポロリしている。実に良い時代だ。
 赤塚の友人達が赤塚について語るコーナーでは、はじめに登場するのは佐々木守で、大島渚ウルトラマンへ尋常ならざる思いを抱いているので、当然佐々木守が登場するだけで嬉しくなるが、驚くのがこの佐々木コメントをスタジオ一面にブルーバックを張って、大写しで映し出し、その手前で延々と赤塚が乳丸出しの姉ちゃん達を襲っているのである。
 この狂気っぷり&クロマキー大好きっぷりは、三上寛のコメントをセーラー服の赤塚がスカートを上げると股間にブルーを張り、三上の顔をそこに映すという凄さにも伺える。
 個人的に大好きだったのが、中山千夏が歌う「自衛隊賛歌」で、制服を着た赤塚達が微動だにせず敬礼したまま中山の傍に立ち続ける。しかし、重信房子とも関係を持つ、じゃりん子チエこと中山千夏が「自衛隊賛歌」とは実に素晴らしく、また1973年という時代とテレビでここまでやっても良いんだと感じさせられた。
 最大の驚愕はラストで、笠被ったオバハンとダンサーの数が異様に多いのは兎も角、舞う紙吹雪がまた異様に多く、どうなっているのかと思いきや唐突に入ってくるのがキャロルで、永ちゃんが赤塚やオバハンに抱きつかれながら「ルイジアンナ」を唄うのである。
 正にナンセンスの極みのような番組だった。何とかしてソフト化できないものだろうか。
 赤塚不二夫とキャロルのファンは必見である。未見の方は6/1(水)のライズXで当日券を狙ってほしい。




 id:shimizu4310さんが詳細なクレジットを書かれていたので、こちらのタイトル誤記を訂正しました。また出演者についても参照させていただきました。何せ美輪明宏篇は事前に告知もなく資料すらなかったので、うろ覚えのタイトルを書いたら、トラバされる方もおられて、誤ったタイトルが広まってしまっていたようでお詫びいたします。美輪明宏篇のタイトルは「美輪明宏のサヨナラ丸山明宏」です。番組詳細についても、id:shimizu4310さんが、より詳細について書いておられます。



追記
上段id:shimizu4310さんがスチールを出して来られたので、勝手ながら転載させていただきました。あまりにも、このスチールが素晴らしく、又この番組の凄さの片鱗を伝える為に是非とも載せたかったので。shimizu4310さん、問題あれば直ぐ削除します。