書籍 「リンダ リンダ リンダ オフィシャルブック」

18)「リンダ リンダ リンダ オフィシャルブック」 (太田出版)

リンダ リンダ リンダ オフィシャルブック
 未だ本編を観ていないが(シネセゾン渋谷が激込みとか聞いたので、来月からワーナーマイカル板宿でやるので、そっちで観ようかとも)、オフィシャル本が出ていたので、山下敦弘の作品でムック本が出る時代が来たことの驚きで即購入。ノベライズは読まない主義なのでパス。
 面白いのが『大阪芸大をめぐる、ゼロ年代関西発フィルムメーカー相関図』なるもので、個人的には、図表にあるように、熊切和嘉以降の擬似撮影所システムが、山下・柴田世代で止まってしまったことが惜しまれる。本来直系筋の「パン屋の愛情」の宮原啓介や、「我論」の尾崎学、「レゾナンス」の池田崇あたりがこの図に入ってきて、更にその下の世代へ受け継がれていって、撮影所システムがあたかも映像系学校で継承されているかの如き錯覚が生まれるような展開を期待していたのだが。勿論、これは前述の作品が、それ以前の作品の作者達とは決定的に異なる点、つまりは表層的描写に終始してしまい、小手先の部分で良く出来ている作品程度にしかならなかったというのが大きな問題で、いずれの作品も商売にする為の決定的な売りが欠けている。連赤スプラッタとか、リーゼントで裏ビデオダビングとか、原爆の音を再現するとか、スカトロビデオに出て家族を養っている女とか、そういったある一点の売りさえあれば、世界的な商売になるのに、その一点がぼやけたことが、前述の作品の弱さになったのではないか。
 と言うことで、「リンダ リンダ リンダ」は早く観たい。