北野武新作披露


 噂通り新作の「TAKESHIS'」は例の「フラクタル」の改題版の模様で、出演者も京野ことみ他、最近外れていた大杉漣寺島進が復帰している。音楽は今回も久石譲ではない。
 「キッズ・リターン」で全盛期が終了し、緩やかな下降を辿った「HANA-BI」「菊次郎の夏」を経て、大きく質が低下した「BROTHER」と、最低作になってしまった「dolls」、そして延命措置としての「座頭市」で表面上はグラフを上げた格好になっているが、この新作はどうか。「フラクタル」は是非実現して欲しかったが、もう遅い気がする。「dolls」みたいなものがまたできてしまったらという恐怖がある。やはり「ソナチネ」の次あたりなら、さぞかし凄いものができたのではないかと期待したくもなるが、今やタレントとしてのビートたけしを被写体に選ぶのはもう時期が遅いように思う。とは言え、最早期待するのは止めた北野武なので、不安感だけを胸に劇場に向かいたい。