なみおか映画祭終焉

 未だに日活ロマンポルノを「補助事業にふさわしくない」と言って、補助金を打ち切り、会場も貸さないという手段に出る市教委とは何なのだろう、文化庁は(寺脇研のこれまでの努力もあったのだろうが)補助を決めていたというのに、と非難しようとは思わない。「補助事業にふさわしくない」とまで言うからには、聡明な青森市教育委員会は上映される神代辰巳の22作品を丹念に観、討議に討議を重ね、ロマンポルノ並びに神代辰巳の世界的評価に拮抗するだけの「補助事業にふさわしくない」理由があるに違いないからだ。まさか、青森市の市教委が単なる外観の印象だけで「補助事業にふさわしくない」などと言うわけがないので、是非どこが「補助事業にふさわしくない」のか、市教委の皆さんにどこにそんな時間があるのかと驚くくらい時間をかけて22作品全てを観て、各シーンを分析して可か不可か検証しているに違いないので、討議記録を開示してほしいものだ。当然ながら、日活ロマンポルノ公開時とは時代も大きく変わっているので、間違っても当時と同じ言説が出てくるわけはなく、現在から敢えて日活ロマンポルノを批判するという新たな言説がそこにはあるに違いないのだから。
 そー言えば、以前「ばかのハコ船」が地方自治体の出してる公報などで青少年への有害興行として指定されているのを目にした時は首を傾げた。イロイロ腹立つことを書いてある公報もあったが、今見つかったのだとコレとか(PDF)。「SEX配達人 おんな届けます」「ばかのハコ船」「ケンパーク」が入っているのも妙なものだが、『著しく青少年の性的感情を刺激し、または粗暴性、残虐性を助長するなど、その健全な育成を阻害するおそれがある。』だそうである。作品を観ていれば、なかなかこうは言えない。
 今年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で、松江哲明のAV「アイデンティティ」が公式上映されるというのに、そういった機運に未だに日活ロマンポルノをどうこう言うヒトが山形の上の方に居ることに驚く。だから、『やはりポルノは駄目なんだ』という水をかけるような斬新な論考を市教委が持っているに違いないと思うしかない。