「男たちの大和」野上龍雄降板の真相

 発売中の「シナリオ」最新号に、かねてより噂になっていた「男たちの大和」から、当初クレジットされていた脚本の野上龍雄の名が消えている件について、本人からの経緯説明並びに野上版「男たちの大和」が掲載されている。
 一昔前は、所謂会社なり、監督と見解の相違やホンに手を入れられたりすると、キネ旬や映芸、シナリオ各誌等で、内情暴露やら自らの稿を載せるということがあった。しかし、最近は、そういうことも勿論相変わらずあるのだろうが、騒ぎを大きくすることなくライターが沈黙することが多い。せいぜい、三池崇史の「SABU」に、脚本を書いた竹山洋が解説で、ちょっと嫌味を言ったり、「SADA」で西澤裕子大林宣彦の無茶な改稿を批判した程度か。ま、「KT」みたいに映芸が別冊作って阪本順治を批判するというのもあるが、あれは別物に思える。何にしても若手、中堅があまり騒ぐと以降差し障るというわけだ。
 それにしても、こういったトラブルぶりも往年の角川映画ぶりが甦った感があるが。実際完成した作品は、かなり野上稿を基にしている様で、そのあたりも脚本と見比べると良いかと。
 ただ、こういった問題というのはもっと表面に出てくるべきで、かつて古本で大量に購入した70年代のキネ旬をパラパラと見ていたら、「サンダカン八番娼館 望郷」の脚本が二つ載っているので何かと思ったら、監督が手を入れたので二種類掲載されたとあった。
 佐藤純彌監督脚本による「男たちの大和」は、金券ショップで順調に値下がりしているので、楽しみだ。500円以下で観るのが目標である。