雑誌 「文學界 三月号」「STUDIO VOICE 03月号」

12)「文學界 三月号」 文藝春秋
13)「STUDIO VOICE 03月号」 メディアファクトリー

STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2006年 03月号
 12)『特集映画狂時代』として『寡黙なイマージュの雄弁さについて―侯孝賢試論― 蓮實重彦』『三池崇史 DOA 四方田犬彦』等。又、連載の『シネマの記憶喪失』が「ミュンヘン」を取り上げるにあたりレギュラーの阿部和重中原昌也の他にイーストウッドの回に続いて登場の青山真治は良いとして、御大蓮實重彦も登場という錯乱気味な展開で、みんなしてスピルバーグを絶賛するという気持ちの良い内容なので購入。 蓮實は「宇宙戦争」を昨年のベストに挙げたらしいし、「マイノリティ・リポート」以降のスピルバーグの凄さを評価する姿勢など、相変わらずそういった部分は見抜くのが凄い。蓮實は「宇宙戦争」を、「ミュンヘン」をどう観ているかが気になっていたので充実した内容だった。但し、この4人に一斉に「ミュンヘン」を語らせるにはスペースが狭すぎる。
 13)『第一特集 00年代小説の読み方 今最も面白い小説150冊!』『第二特集 批評本のリアルマップ』。双方特集共普段なら興味ないので買わないが、偶々気が向いてフト買う。たまにボイス買いたくなる症候群。ま、井土紀州が出てきていたせいもある。
 井土紀州と言えば、8年程前だったか、大阪のシネヌーヴォ梅田で「百年の絶唱」が公開された時、大阪は1日のみの上映、しかも井土紀州自らが8mm映写機を回すという妙な緊張感を強いられる中見せられ、昨年再見した時は随分面白かったが、初見時はよく分からなかったものの、とりあえず観終わって例によってパンフを購入して、ソソクサと帰ろうとしたら、ヌーヴォのスタッフが余計なことを言うヤローで、ま、客が大阪だけに数える程しか居なかったせいもあって、気を遣ったのだろう。パンフを購入した自分にボーッと横に立っていた井土紀州にサインして貰えと言う。んなもんいらんのだが、強行に断るわけにはいかず、サインして貰い、スタッフは何か聞けとまで言う。今なら、それなりに聞きたいこともあるが、初見時は作品の面白さを掴みかねていたので、何にも聞くことがない。しかし、黙っているのは不味いので、口からついて出たのが『コレ、シングル8ですか?スーパー8ですか?』と、8mmであることのみでしか発想できなかった、しかし本当にその時疑問だったことを聞いて、井土紀州の例の低いエエ声で回答を貰って家路に着いた。あれは何だったのだろうか。「百年の絶唱」のデカイパンフを見る度に、井土紀州を見る度にあの夜を思い出す。
 んなことはどうでも良く、井土紀州の経歴を読んでいたら、自主映画で三部作とか作っているらしく既に第1部「蒼ざめたる馬」、第2部「複製の廃墟」、第3部「朝日のあたる家」と完成しているらしい。そのうち纏めて観る機会もあるだろうが、是非観たい。