DVD 「若松孝二 初期傑作選 DVD-BOX 2」

若松孝二 初期傑作選 DVD-BOX 2」
13)「狂走情死考」
14)「処女ゲバゲバ」
15)「裸の銃弾」

若松孝二 初期傑作選 DVD-BOX 2
 良いモノを続々と出してくれて嬉しいが、高いのが辛い紀伊国屋DVDだが、前回に引き続き9980円で入手できたので、許容範囲かと。
 本来今月出る筈だった「若松孝二 初期傑作選 DVD-BOX 3」の発売が6月に延びたので、今のところは先に山積している状態にはなっていない。来月から毎月大島渚のBOXも出るし、足立正生の「テロリスト 幽閉者」が今秋公開なのでそれに併せて足立BOXが出たりしたらまた大変だと思い、期待する反面、ゾッとする。
 で、「若松孝二 初期傑作選 DVD-BOX 2」だが、このBOXが最もレア度が最も高く、最も意義があると言えるのは「裸の銃弾」が収録されているからで、何せ初のソフト化且つ昨年のポレポレ東中野でも上映されなかった作品だけに、全く未知の作品だと言える。昔、PLANETでよく若松映画やっていたが、その時やってなかったっけと思わないこともないが、まあ数が多いし覚束ない記憶なのではっきりしたことは言えないが。
 何でも若松映画発掘家の平沢剛が、若松の別荘だか倉庫だかで他のレア作品共々発見したそうである。結局は映画なんてのは、映画作家が手元に放置してあるのを、それを見せてくれと懇願し、発掘していく作業をしなければ、田舎の蔵に山中貞雄があるに違いないというのと同じで腐食していくだけだから、若松にとって平沢剛との出会いが大きかったのだと思う。勿論、そこまで若松を信頼させた平沢が凄いのだが(ただこの方、昨年の若松レトロの時の講演を拝聴したが、ノーパソの画面のみを見つめて客席には一眼もくれず、読んでるだけで、また内容が中曽根政治に至るまで云々と小難しいこともあって観客との距離が物凄かったが、せっかく若松映画を新たな観客に出会わせる素晴らしい仕事をしているのだから、それはそれ以前の彼が主体となった足立全作上映、アンダーグラウンドフィルムアーカイブスでも同様だったが、平沢が更に作品と観客を結びつける役割を演じて欲しいと思う。具体的には作品の背景、作品の発掘・上映に至る経緯など、彼でなければ話しえない内容をアタマに少しは喋ってくれよと、これは同じく昨年の新宿フェスタで上映された若松のレア短篇についても思う)。
 「狂走情死考」「処女ゲバゲバ」については何度も観ているとは言うものの、テレシネし直し、鮮明な画質でスクイーズ収録されているのだから、やはり良い。
 各作品についているブックレットも詳細且つインタビューも多く、資料性が極めて高い。