読了 「ボクのブンブン分泌業」

4)「ボクのブンブン分泌業」中原昌也  (太田出版) ☆☆☆★★★

ボクのブンブン分泌業
 フィルムセンターで「ヨシワラ」の上映を待ちながら座席で本書を読みつつ場内を見渡すと8割程の入りで、流石に3回上映しているのでうまく分散しているようだと思いつつも、珍品上映では決まってみかける山根貞男の姿もあり、やはり評判を聞きつけて慌てて追いかけてくる自分のような人間も居るのだろうとも思いつつ、もう少しで読み終わる本書の終盤を読み進めていたら、自分の前の席に中原昌也が座ったので笑いそうになる。当然この書を読んでいれば、作者は自作を近くで読んでる奴を見かけたら不快になるに決まっていると分かっているので、万一にも視界に入っては不味いと直ぐにしまった。で、帰りの電車で読了。
 これだけまとめて読むと、書くのが嫌いだという御馴染みの文句が頻発し過ぎるので飽きるが、映画評に関しては圧倒的。
 それにしても、昨年の『ドイツ時代のラングとムルナウ』にも中原昌也阿部和重共々日参していて、これは後に「シネマの記憶喪失」でも語られていたが、「ヨシワラ」以外の今回の『ドイツ・オーストラリア映画名作選』にどれぐらい来ているのか知らないが、熱心だなあと思う。