「犬神家の一族」製作発表

molmot2006-04-05


 既報の石坂浩二松嶋菜々子以外のキャストは、噂通り、富司純子松坂慶子萬田久子尾上菊之助奥菜恵仲代達矢中村敦夫岸辺一徳加藤武林家木久蔵などで、コチラが写真も多い。 その他池内万作大滝秀治、尾藤イサオも参加するようで、キャストとしては申し分ない。少なくとも、市川崑の「八つ墓村」より遥かに映画的なキャストで、何より余りにも目に余る演技を平然とやってのける浅野ゆう子が入っていないのを喜びたい。
 キャストに関しては市川崑とプロデューサー側の折衷案的趣があり、近年は市川崑好みの役者が占めがちな中で、松嶋菜々子富司純子松坂慶子などはP側の要請だろうか。
 個人的には、松子役には岸恵子を予想する声も多かったが合うとも思えず、恐らく往年のコンビで、近年も「細雪」「かあちゃん」と出演依頼しながら断られている山本富士子か、若尾文子あたりと踏んでいただけに、富司純子というのは驚いた。更に松坂慶子も。富司は東映だっただけに市川崑との接点は薄いが、松坂慶子に関しては80年代に市川崑が松竹とやるという企画がずっとあり、山口百恵で「牢獄の花嫁」のリメイクだったり、「妖星伝」だったり、90年代に入ってからも「長嶋茂雄殺人事件」がイン直前まで行って中止になったり、大島渚深作欣二市川崑のオムニバス映画企画やら、どうにも市川崑×松竹の相性は悪いようで、いづれも実現していない。松坂慶子主演企画では1985年に市川崑のセルフリメイクで「足にさわった女」をやるというハナシがあり、既に脚本も上がっていたようだが、予算がかかりすぎるのに危惧感を抱いた市川崑が降板した為中止になっている。
 富司純子という横溝作品初参加の新鮮さに増して、横に松坂慶子が控える豪華さに、佐清を実子尾上菊之助が演じるというのも良い。
 現在の役者では到底オリジナル版には及ばないと思っていたが、上々のキャスティングではないだろうか。
 石坂浩二と共に動く古舘弁護士を中村敦夫というのも良く、この二人が市川崑の作品で同じ画面に収まるのは嬉しい。
 個人的には、稲垣吾郎版「女王蜂」に出演済みの池内万作の市川作品初参加が喜ばしく、「吾輩は猫である」「細雪」での伊丹十三へ思いを抱く者は、仲代達矢大滝秀治、尾藤イサオと並ぶ池内万作の姿を見るだけで感動的だし、一度は市川作品へ出演をと思っていたので間に合ったという感がある。
 製作発表では、石坂浩二金田一の扮装を披露しているが、5年前までなら老成化を全く感じさせなかったが、流石に最近は一気に老け込んだ感があったので、寄りの写真を見ると老けたなと思いはするが、それでも往年の面影をこの年でも残しているし、どーせ銀残しとかやるに決まっているからスクリーンではそう気にはならないだろう。尚、石坂浩二金田一の扮装をするのは「病院坂の首縊りの家」以来27年ぶりではない。自分の記憶にあるだけでも90年代に二度披露している。一度はBSでアガサ・クリスティの特番があり夏樹静子とレポをする石坂は金田一の格好をしていたし、TBSで森口博子とやっていた料理番組「石坂・森口のくっきん夫婦」では番組冒頭のショートコントで、いきなり金田一の格好で入ってくる石坂浩二というネタがあった。リアルタイムに間に合わなかった世代は、こんなものでも石坂浩二金田一やってるというだけで感動していただけに、今回の製作発表での石坂浩二を見るだけで泣きそうになる。
 噂では監督補に手塚昌明がつくそうで、完成した際に共同監督で手塚昌明がクレジットされないように、市川崑には頑張っていただきたい。手塚昌明的には、もう一度勉強し直すという意味合いもあるだろう。

 加藤武と市川崑にはくれぐれも体に留意してもらって‥