映画 「子宮で映画を撮る女」「南の島にダイオウイカを釣りにいく」「童貞。をプロデュース」「私の志集 三〇〇円」

イメージリングス PRESENTS Vol.8 第1回ガンダーラ映画祭〜あの「私の志集」売りの真実が明らかに!!(ロフトプラスワン

 1月に下北沢のLA CAMERAで観たガンダーラ映画祭の8本の作品に良い思い出はない。と言うのも、ガンダーラと言うから油断して観ていたら剛速球の球を集中砲火的に浴びせられ呆然としてしまったからで、念のためにもう一度観る必要があると思っていたら、丁度再見の必要性を感じていた4本がロフトで上映されるというので行くことにした。本来、村上賢司の「犯罪学会」も再見したかったが、こちらは5/8の「イメージリングス PRESENTS Vol.9 第2回ガンダーラ映画祭〜『ドキュメンタリーの森達也は嘘をつく!』」で上映されるので緑ジャージ見たいし行きたいところだが、無理なのが極めて残念だ。緑ジャージが見れないのが。
 方々で話題になっているせいで、上映直前に行くと既に中央は埋まっていたが、一度観ていることだし、隅のソファで酒飲みながらノンビリ観ていたら非常に楽しめた。山下敦弘だの、いまおかしんじだの、松江哲明だの、村上賢司だのと新作を一気に観られるなどと気合を入れて観るより、平日の昼間にミラノ座で金券ショップで700円で買ったチケットで酒飲みながら映画観るのが楽しいのと同義的に観るのが正しいなと。
 夫々の監督達のトーク付きなので面白い点が多かったが、殊に「子宮で映画を撮る女」に関連して、沙羅双樹なことについて予想していたことが事実であったことが確認できたのが個人的には良かった。ようは「カンゾー先生」で三國連太郎がナニしたみたいなハナシの小さい版における真実について、それ以前の作品については知り合いなりが入っていたので聞けたのが、沙羅双樹なことについてはできなかったので、恐らくそうであろうと予測していたことが当たったなと。そのことがあの作品における最大の欠点だと思っていたので、むしろ現在実際に出産した後でならある種の説得力を持たせられる演技が出来たのではないか、などと思う。
 「南の島にダイオウイカを釣りにいく」上映前に客席を暖める処置を取ったのも見事で、何も予備知識を持たせずに見せるべき作品と、作品の構造を事前に説明しておくことで箸が転がっても可笑しい状態にしておくことは重要なことだ。『南の島にダイオウイカを釣りにいく。をプロデュース』することで、「南の島にダイオウイカを釣りにいく」は作品本来の面白さが広く享受され、又、自分も初見時より遥かに楽しめたのは良かった。因みに翌日BSで例のダーウィン番組を再放送していたのでコレ幸いに録画して妙に楽しみながら観た。

84)「子宮で映画を撮る女」(ロフトプラスワン) ☆☆☆★★

2006年 日本 カラー スタンダード 分
監督/山下敦弘 向井康介

 
 

85)「南の島にダイオウイカを釣りにいく」(ロフトプラスワン) ☆☆☆★

2006年 日本 カラー スタンダード 分
監督/いまおかしんじ

86)「童貞。をプロデュース」(ロフトプラスワン) ☆☆☆★★

2006年 日本 カラー スタンダード 分
構成・編集/松江哲明    出演/加賀賢三 カンパニー松尾

87)「私の志集 三〇〇円」(ロフトプラスワン) ☆☆☆

2006年 日本 カラー スタンダード 分
監督/しまだゆきやす

 ガンダーラ映画祭で、世間的には最も知名度、評価が高い作品となるようで、自分も初見時は最も期待した作品だった。
 で、確かに面白い。自分も例の西新宿のあの場所を毎日通っていた時期があったので、連日立っている彼女の姿が印象的で、ちょっと詳しいヒトは教えてくれたりしたし、少し調べれば詳しいことがわかるとも言われたが、そこまでの意欲もなかったものの、この作品で様々なことを教えられた。
 作品から受けた印象は初見時と変わらず、その確認の為の再見という意味合いもあったのだが、やはり言葉に寄り掛かり過ぎている作品という思いがある。黒バックに白文字で延々見せるというのも手法の一つなので悪いとは言わないが、本作の主人公である彼女が、『言葉』に固執して新宿に立ち続けているからには、彼女の経歴、作品を見せる際には、文字だけではなく、それに対して映像で返してほしかったと思う。それこそ彼女が立ち続ける新宿という街を、切り取って欲しかったという思いがある。
 又、定点観測的なショットでは、個人的には彼女がそこに立つ瞬間、離れる瞬間が見たかった。単に他のヒトは見たことがあるのかもしれないが、自分は彼女があそこに立っている姿しか見た事がない。いつやって来て立っているのか、いつ去っていくのか。その瞬間に彼女の別の表情が見えたかもしれないないとも期待してしまうが、意欲作であることは確かだ。