古本 「アヴァンギャルド60’s」「松竹大船大島組―プロデューサー奮戦記」

33)「アヴァンギャルド60’s」吉岡康弘  (新潮社)
34)「松竹大船大島組―プロデューサー奮戦記」荒井富雄 (現代書館

アヴァンギャルド60’s (フォト・ミュゼ) 松竹大船大島組―プロデューサー奮戦記
 33)背表紙を見かけて発売時に購入し忘れていたことを思い出す。値段も半額以下の1500円になっていたしで即購入。吉岡康弘の名を最初に覚えたのは初めて見た大島渚の作品でもある「絞死刑」のカメラマンとして。以降の大島作品からやがては写真家としての吉岡康弘を知っていったわけだが、本書が60年代の吉岡康弘の総決算と言うべき凄い書になっている。性器の接写も凄いし、例の若林美宏の獣姦写真や、金嬉老事件若松孝二、大島、足立正生共々現場まで行った写真だとか、足立の「イヴェント・鎖陰」の様子を撮影したものなど、伝説的なエピソードが見れるのが凄い。完全に存在を忘れていたが、さっさと買っておけば良かった。
 若林との関係について詳しく語られているが、自殺についてはあっさりしたことのみ綴られている。半年前に同居していた家を飛び出し、彼女は飛び降り自殺をした。
 34)これも発売時に大島の資料用に買おうかと思っていたが、どうも元プロデューサーの物言いが嫌で、古本回しにしていた。800円だったので適正だと判断して購入。
 「愛と希望の街」から「日本の夜と霧」での壊滅に到るまでの松竹大船での大島らを若手プロデューサーだった筆者の視点から綴ったもので、事実関係が大島が言っていたことと違っている部分もあるが、それも含めて面白い。「チンコロ姐ちゃん」を大島らは炎加世子でやろうとしていたのは初めて知る。