大林宣彦「転校生」をセルフリメイク

転校生 [DVD]
 「転校生」を大林宣彦自らセルフリメイクするとのこと。
 舞台は尾道から長野市へ。しかし、転校生は尾道から来るという設定だそうで。何故か最近起用されてない尾美としのりが親か教師役ぐらいで復帰して来て“思春期にはありがちなこと”などと口走るのではないか、とか「理由」で久々に大林映画に復帰した小林聡美は出るだろうとか、撮影は、コンビ解消した阪本善尚にまたやって欲しいとか、尾道との絶縁をした大林の今後とか、大林と田中登が一つ違いなのに驚愕したとかイロイロあるのだが、しかし、大林は角川で撮る「冬の花火」といい、嘗て以上の量産体制に入っているのは、残り時間を考えてのことだろうか。
http://www.nikkansports.com/entertainment/cinema/p-et-tp1-20061004-99060.html


 特に「時かけ」や「犬神」との比較をする必要が無いのは、大林宣彦は元来リメイクを厭わない映画作家だったからで、こじつけて言えば、金田一耕助というリメイクを運命づけられた探偵の悲哀を、片岡千恵蔵金田一フッテージを出してきたり、三船敏郎にまで幻の金田一を演じさせてしまう、「金田一耕助の冒険」という作品をそのフィルモグラフィーの初期に撮ってしまっていることからも明らかだが、10年ほど前に大林宣彦が「時をかける少女」をリメイクするのではと噂された時期があった。つまりは、仮釈放中の真っ赤なお鼻の角川春樹がリメイクをぶちあげたからで(そう考えると「時かけ」は角川一族によって延々と映画においてリメイクされていることになる)、監督は未定ながら大林宣彦の名が取りざたされていた。実際大林自身もやる気があったようで、その時期に書かれたものには、もし、自分が「時かけ」をリメイクするなら‥という仮定の形を取りながら、芳山和子と深町は兄妹にしてしまい、兄妹の淡い純愛物語にしたいと大林以外が口にすると変態にしか聞こえないことを言っていたが、それはそれで観たいと思ったものだ。結果として、角川春樹自ら監督して教育テレビのSFモノの更に酷いヤツみたいな出来だったが‥
 大林は兄妹の純愛物語というものに拘っていたようで、「時かけ」に代わって手掛けた「三毛猫ホームズの推理」では、片山義太郎と片山晴美の愛情が過剰に描かれていたし、大林が描きたかったのはこの部分だろう。