仮置き

 項目別にするのが面倒なので、とりあえず雑記で。後で詳細含めて分ける。
 徹夜で仕事をあげて納品終わらせ、どうするかと考える。渋谷、朝10時前。夜は、林由美香のイベントがあるので、それまでは一度帰って寝ようかと思うものの、せっかくこんな時間に渋谷に居ることだしと、やはり見逃しの映画に行くべく、109でチケットを揃える。


 
 まずは、今週で終わるキム・ギドク監督の『弓』(☆☆☆★)をル・シネマで。朝イチから暇そうなババアが並んでいる。向こうもコッチをそう思っているかもしれないが。映画は、やはり妙な作品だった。好きな箇所と嫌いな箇所が重なり合っている。とりあえず、過剰に音を乗せているのは鬱陶しい。エロっぽさは良い。国映にリメイク権をあげたいなと。いまおかしんじ監督作品で。ピンク映画で廃船が舞台になることはあるんだから、やりようあるんじゃないかと。「変態家族 オッサンの幼き嫁さん」と言ってしまえる内容なんだし。でも幼児拉致と弓による占いといった要素を重ねて描くのは嫌いじゃない。消化できていたかどうかは別として。


 
 続いて向かいのシネアミューズ矢崎仁司監督の『ストローベリーショートケイクス』(☆☆☆☆★)。水曜千円日に観るつもりが、悉く都合が合わず、ちょっと気になっていたので、この際だからミニシアター共通券で観る。1330円。場内ガラガラ。
 上映まで席で待っていると、流石に眠くなって意識が朦朧としてくる。ひょっとすれば眠気を誘う内容かもしれず、不味いなあと思っていたら、前方入口から入ってきたヒトを遠目から眺めると松江監督だった。アラと思い、挨拶するべく身を起こしていると、松江監督が帽子を取ると何と坊主。へえー、なんか下手うったんやろうかと思いつつ、近くで見ると、それは柄本佑氏だった。あ、やっぱ似てるわ。かなり近くまで来ると違うっちゃ違うが、遠目からだと酷似してる。特に目鼻がソックリ。柄本佑は『17歳の風景」の舞台挨拶やピンク映画系のイベントで舞台上の姿を見たことがあったが、特定の距離で見るとやはり似てるな。父親もアレだし、姉ちゃんも日芸映画学科ということもあって、家族揃ってピンク映画も愛好するという羨ましいリアル変態家族だが、『ストローベリーショートケイクス』もちゃんと観に来るんだなと思う。役者としても、この年齢で卑屈な人間を演じれてしまう柄本佑は大好きなのだが、上映中、いくら席が空いてても足を前の席に上げるのはお行儀が悪いわよと思う。
 ところで、『ストローベリーショートケイクス』だが、予告篇の最中眠りこけてしまい、本編が始める直前にハッと目が覚める。そんなんだから、本編中にもまた寝やしないかと不安だったが、寝るどころか一瞬も睡魔は訪れず、瞬きすら殆どできなかった。始まって直ぐアレっと思って身を起こした。何だコレは、と。何で女優達はこんな表情や仕草ができてるのと不思議に思い、更に各カットの充実ぶりには驚いてしまう。『ストローベリーショートケイクス』は今年の日本映画ベストワンであり、映画史に残る大傑作だと惚れ込んだ。


 
 呆然としたまま新宿へ移動。友人から連絡入って新宿居ると言うんで、茶飲み。『ストローベリーショートケイクス』を執拗に薦める。途中で役者が降板したのに撮り直しをせずに続けて代役で残りを撮ってしまって完成させた自主映画のハナシを聞く。『てなもんやコネクション」という偉大な前例の精神は受け継がれている。

 眠かったのに『ストローベリーショートケイクス』で刺激されて、妙なテンションになりつつ、着回しの効かない関西人好みな服買ってからディスクユニオンで中古DVD『アンブレイカブル』『ジャッキー・ブラウン』を夫々500円と千円で購入。
TSUTAYAへ移動して田中登追悼にDVDで『発禁本「美人乱舞」より 責める!』と『ハードスキャンダル 性の漂流者』をレンタル。当然レンタルフル回転中であるべきなのに、いつ行っても新宿・渋谷TSUTAYA田中登の作品が残っているのは何故か。まあ、借りたい時に借りられるのは良いのだが。


 
 6時半近くになったので慌てて、ロフトプラスワンへ。話題の膨れ具合からも入場時間前に行かなければ、かなりのヒトが来そうな勢いを感じたので恐々としつつ行ってみると、自分の前には一人並んでるだけで、何事も無く入場できてしまう。結果的には異様に混み過ぎることなく適度に入ったくらいで、ちょっと意外だったが、一昨年の林由美香も来ていた旧アップリンクハマジムのイベントとかと同じくらいの好ましい客層とヒトの入りだったので、居心地が良かった。

 松江監督が居たんで、ここでも『ストローベリーショートケイクス』を観てくださいよと薦める。あと『オトシモノ』も。『ストローベリー〜』は、女の子を可愛く撮れる監督には観て欲しい作品なのよ。とは言え、作品に関しては松江監督なら別の意見を持つかもしれないと思うが、ともあれ観て欲しいなと。しかし、やはり柄本佑と連続して見ると似ていることを確認する。タッパも近い。祐氏も好きな女池充監督作品か、出演済みのサトウトシキ作品で、二人共演の童貞兄弟を観たいと思う。或いはここに、既に兄弟共演済みの山本浩司を足して(『あんにょんキムチ』に登場する松江監督の父の若き日の写真は山本浩司と酷似している)、三兄弟として並んだものをいつか観たいと思う。

 林由美香イベントはひたすら濃厚。19時半から始まって終了23時40分。4時間ずーっと濃厚。確かにこの仕切りの二人で薄いモノなんか見たくないとは言え、恐ろしくなるほど濃厚。1日何も食べてないのに空きっ腹で酒飲んでグラグラしてたら、舞台ではFAプロの永田洋子もどきを演じる林由美香から始まり、井口昇がウンコを連呼する『由美香』のアウトテイクに到るまで、これでもかというくらい濃いモノが流され続けていた。大体、場としても濃かった。近くに由美香ママが座ってて、泣いたり笑ったりとよく反応してるのが視界に入ってくるし、前の席には浜野蟹女史が身動ぎ一つせずに4時間近く聞き入って凄い集中力発揮してるし、休憩中はアヌトパンナの姐さんと『犬神の悪霊』がねとか、またこれはこれで濃いハナシしてたせいで、結局ずーっと濃いまま4時間突っ走り、結論的に寝てから来れば良かったと大いに後悔する。とは言え、林由美香がどこにでも居ることを改めて確認させられた。