DVD 『若松孝二 初期傑作選 DVD-BOX 3』『ナック』

若松孝二 初期傑作選 DVD-BOX 3』
130)『ゆけゆけ二度目の処女』 (若松孝二
131)『現代好色伝/テロルの季節』 (若松孝二
132)『理由なき暴行』 (若松孝二
133)『ナック』 (リチャード・レスター

若松孝二 初期傑作選 DVD-BOX 3 ナック [DVD]
 最近は用がなければ極力忌避したい場であるアキバへDVDのメディアが切れたので立ち寄る。自分は専ら、あきばお〜でマクセルのDVD-Rを50枚ずつ購入している。これで1ヶ月は持つ。ここなら2400円で買えるから。ついでに掘り出し物が偶に出るDVD店に寄ると、紀伊国屋DVDが安くなっていて、気付いたら『若松孝二 初期傑作選 DVD-BOX 3』と『ナック』を買ってしまっている。予定外の思わぬ出費だが、若松BOXは全部買わなければならないので仕方なし。店頭新品で一万なのだから、お得ではある。既にBOXの1と2は購入済みだが、一万以下で購入できたので、定価の1万5千円は当然として、ネットや店頭で本DVDの平均価格としてよく見かける1万2千円でも嫌だと思っていたので、まあ良かったかなと。
 収録作品は以前にも書いた通り、再三の発売延期を経て当初収録予定だった『性輪廻 死にたい女』がネガの保存状態が悪いという理由で差し換えになり、『理由なき暴行』が収録された。『理由なき暴行』自体は好きな作品なので、収録されるのは嬉しいので結果的には良かったのだが。以前特集上映で観た際の感想はコチラ
 一つ気になっているのは、柳下毅一郎氏が自身の日記で書かれている疑問点についてで、この作品には、浅香なおみこと鈴木いづみが出演しているのだが、柳下氏の日記を引用しておくと<鈴木いづみ自身の出番は一瞬で、濡れ場もなかった。その場面、どうも妙な編集だったのだが、やはり有名になってから濡れ場を切っちゃったのかなあ。鈴木いずみってそんなことを気にする人とも思えないのだが。>とある。特集上映で本作が上映された際に、来ておられた柳下氏が終映後、同様の発言をされていたのを帰り際に横を通り抜ける際に耳に挟んだ。この辺りをDVDで再見して確認できればと思っている。
 若松映画は個人的には好き嫌いは激しく、世評の高い『天使の恍惚』や『処女ゲバゲバ』をそう過剰に持ち上げる気がないので、DVDに収録されていてもそう喜ぶということはなかったが、今回のBOXは全て好きな作品ばかりなので嬉しい。
 『現代好色伝/テロルの季節』なんか、終盤までは退屈させるが、やはりラストのダイナマイトを腹に巻きつけて羽田空港へ突っ込んで行く爽快さの魅力には抗し難い。
 『ゆけゆけ二度目の処女』は初見時はそう良いとも思っていなかったが、再見を重ねる度に傑作と思うようになった。原宿セントラルアパートの屋上のみで撮られた屋上映画の秀作だ。
 例によって充実したライナーが読み応えがあり、殊に重要だと思ったのは松田政男のインタビューで、大島渚の『帰ってきたヨッパライ』の脚本作成の過程について、<ついに来なかった石堂淑朗抜きで、大島、田村孟、佐々木に足立が加わって4人で熱海かどこかの伊豆の海岸沿いの旅館で脚本合宿をやる。>という言葉が目を引いた。このシナリオ合宿に、第三世界世界革命論のレクチャーの為に松田や太田竜が合流したことは他の関連書でも書かれているので驚かないが、石堂淑朗も参加予定だったとは初耳で、創造社を脱退した石堂は、喧嘩別れというわけではなく、その後も『アジアの曙』に田村孟佐々木守と共に脚本を提供しているし、『白昼の通り魔』の難解性を批判した一文を『映画芸術』に寄稿したりしているが、『絞死刑』への石堂の出演を考えれば不仲であるわけはなく、石堂の才を買っていた大島が恐らく続いて製作された『帰って来たヨッパライ』への脚本参加を要請したのではないかと想像するが、どうなのだろうか。又、この時期に近い頃だったと思うが、確か助監督が大島へ、田村ではなく石堂と組んだ方が良いのではないかと進言してきたと大島が書いていたように思う。これが実現していれば、1963年の『小さな冒険旅行』を最後に劇映画での組み合わせが終了していた大島と石堂が、『帰ってきたヨッパライ』の共同脚本で再び組んでいたかもしれず、この時期の大島の作品に石堂の色が入ってくればどうなっていたのだろうと思う。

 
 リチャード・レスターの『ナック』を今更と思いつつ、2700円だったので購入。
 しかし、紀伊国屋DVDは良いものを出してくれてはいるが高い。友人で金も無いのにバカバカ紀伊国屋DVDを定価で買う奴が居て、感化されそうになるので恐ろしい。恐ろしいと言えば、『映画はおそろしい ホラー映画ベスト・オブ・ベスト DVD-BOX』も一万で投売りされていたので危うく買いそうになるが、押さえておく。