TV 『本物の映画作りとはこれだ!名匠・市川崑が手掛けるミステリー超大作の舞台裏』

本物の映画作りとはこれだ!名匠・市川崑が手掛けるミステリー超大作の舞台裏』(日本映画専門チャンネル

2006年  日本 日本映画専門チャンネル ビスタ 30分

 そろそろ、関連番組等やらイベントやらもあるので、チェックが欠かせないが、まずは、日本映画専門チャンネルのメイキングから。30分しかないので不満だが、まあ、開巻の背景を30年前のモノを流用した、例のシーンの撮影風景で、石坂浩二の歩きに合わせてグリーンバックも動かしているのとか、ちょい興味を引いたぐらいか。
 後は、市川崑の明快な喋りと呆けてなさ具合に安心し、もう一本は確実に行けると安心する。


■映像資料
①『犬神家の一族』1976年版予告&2006年版特報・予告


②『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』『獄門島』『女王蜂』『病院坂の首縊りの家』のタイトルクレジット比較。殊に、『悪魔の手毬唄』での岸恵子の科白から、タイトルに入るタイミングは映画史に残る素晴らしさ。
 又、『病院坂の首縊りの家』のみ、これまでの明朝体ではなく、ゴシック文字のスライドインという表示であることも興味深い。石坂浩二のクレジットに“金田一耕助”と入るのも唯一のものだ。原作の執筆が現在であること、作品のスタイルの変化に合わせたものだろうか。一般に科白が膨大過ぎてサッパリ話が分からないと言われ、評価が低いが、自分は『病院坂の首縊りの家』にもかなりの愛着がある。それまでにも断片的に他の作品を観てはいたのだろうが、本作を小学生のときにテレビで観て、初めて強烈に編集や照明を意識し、市川崑にハマるきっかけになっただけに、やはり擁護したくなる作品だ。
 因みに『市川崑の映画たち』(森遊机)によれば、当初、『病院坂の首縊りの家』は、石坂浩二の監督主演という企画だったという。『女王蜂』でも『火の鳥』とスケジュールが重なり、かなりの部分を松林宗恵が監督協力として請け負っているように、市川崑の多忙さもあり、又、『獄門島』で完結させる筈が興行的安全パイだからと、東宝からシリーズ続行を求められることにもいいかげん飽きたのだろう。ただし、舞台演出の経験はあるとは言え、映画監督経験のない石坂浩二をバックアップするべく、監修的なことを市川崑がする予定だったということだが、そこに横槍を入れてきたのが、『悪魔の手毬唄』以降は企画協力という形で参加している角川春樹事務所で、ようは新刊である『病院坂の首縊りの家』の監督が新人監督では心許ないという。結局また市川崑の監督によって映画化されたわけで、それで良かったと思いつつも、石坂浩二の監督主演による金田一モノというものも、また観たかったと思う。或いは今後、ひょっとすれば実現しなくもないと、ありえない筈の『犬神家の一族』の石坂浩二主演によるリメイクが実現した今となっては思う。