『どんてん生活』『真昼の切り裂き魔』

)『どんてん生活』(山下敦弘) 
)『真昼の切り裂き魔』(滝田洋二郎) 

どんてん生活 [DVD] 真昼の切り裂き魔 [DVD]
 都心から列車で一時間ほど離れた駅の構内を、夕方仕事終わりに歩いていたら、台を並べてDVDを販売している。別に珍しい光景ではない。どーせPDモノを叩き売っているに相違ないので見る必要もないと、通り過ぎようと思っていたが、何故か気が向いて覗き込んでみると、ちょっと気の利いた並びの正規DVDが全品半額で並んでいるので、思わず見入る。で、親切心から数人にメールしてあげて、いるものあれば買っておくと伝え、実際『おんな地獄唄 尺八弁天』をメールで買っといてと言われて買ったりもしたのだが、即電話で返してきた某姐さんは、夕方とは言え、まだ仕事中やないんかと。それは良いにしても、電話口でタイトルを列挙させられたのは大いに閉口し、こっちから言ったこととはいえ、場所がアキバのその手の店なら気にしないにしても、夕方の駅の構内で、隣には普通の女子高生の集団が居たりする中、「『おまえの死体も乗っ取るぜ!!!』と、『ハマーフィルム怪奇コレクション』は『吸血エロス篇』と『異境の美女篇』です。『虐殺の女王』が入ってる‥」などとデカイ声で言わされ、女子高生に気持ち悪がられる。
 ジェス・フランコのBOXにも後ろ髪引かれつつ、結局、無難に『どんてん生活』と『真昼の切り裂き魔』を夫々半額で購入するに留めておく。
 しかし、いくら駅ナカにある新星堂が在庫処分で半額にするからと駅の構内に台を置いて捌いたにしても、置いてあるDVDの並びが、絶対に不特定の人々が行き来する駅の中に置くような作品ではなかった。ポルノとホラーとマカロニとカンフーものを、かなりのBOXと単品含めて数個の台を占拠しているのは不気味だし、それをとりあえず手に取り、こんな映画知らんなという顔をしている女子高生という絵柄も不可思議なものだった。