『あなたにあげる歌謡曲』

『あなたにあげる歌謡曲』(青い部屋) 

【出演】 渚ようこ/高橋ピエール(G)/コモエスタ八重樫(DJ)
 
 友人に誘われて久々に渚ようこのライブへ。以前青い部屋含めてコバコでやってた時は何度か行ったことがあるが、最近は大きいところでやっていたようなので食指が動かなかったが、久々に青い部屋でやると言うので、酒飲みながらノンビリ聴く。個人的には、こういう場で酒飲みながら、渚ようこ昭和歌謡を聴くのがいちばん感じ良いと思っているが。
 しかし、遠目から見ると、松江哲明柄本佑、或いは古澤健新井浩文アテネフランセで30cmの距離から相似具合を確認済)並に、今日のメイクの渚ようこ真魚八重子の見分けがつかずビビる。ロマンポルノばっか観てると同じようになってしまうのか。
 唄はおなじみ若松孝二『天使の恍惚』主題歌の『ここは静かな最前線』、藤田敏八『ダブルベット』の『ラブホテル』、麻生よう子『逃避行』などが良かった。と言うか、睡眠不足の上に酒飲んで朦朧としている中で聴くと、場所柄的にも『天使の恍惚』の一景を思い返して良かった。
 ところで、若松の新作『実録・連合赤軍』に渚ようこのカヴァー版『ここは静かな最前線』が劇中で使用される予定のようで、若松の気が変わらなければそのまま使われるだろうとのこと。そういう意味でも『天使の恍惚』と『実録・連合赤軍』の相関関係は興味深く、60年代から70年代前半にかけての若松映画が、状況映画として、ピンク映画の機動力も相まって即時性の高まりが、やがては近未来へと劇の構造を必然的に移動させていき、『天使の恍惚』がその近未来への予兆の最たる形で達成されたわけだが、そこから35年を経て、『実録・連合赤軍』という形で、過去を描くのが、若松映画にとっての新たなる地点への一歩になるのか、後退になるのかが気になる。来年公開予定だが、恐らく年内に何ならかの映画祭で観れると予想しているが。


■参考資料 『ここは静かな最前線』オリジナル版(唄:横山リエ)
『天使の恍惚』  【監督/若松孝二 脚本/出口出足立正生)】