『喜劇 新宿広場』(☆☆★★)
ラピュタ阿佐ヶ谷へモーニングショー<昭和の銀幕に輝くヒロイン 三田佳子>に行く。山本邦彦の『喜劇 新宿広場』(☆☆★★)を観る。
映画の藤田まことには殆ど興味はないが、1969年の作品なので、60年代後半の新宿の風景が見たいので観る。
作品としてはかなりの凡作。この時代の作品には必ず出てくる、西口、東口、和幸前、花園神社、都電といった景色を眺めて変わらないもの、変わったものを思う。
個人的に驚いたのは、紀伊國屋書店社長・田辺茂一が出てきたことで、2シーンほど出てきて伴淳三郎にギャグを飛ばしたりと、恐らく前年撮影の『新宿泥棒日記』で度胸が付いたせいもあるのだろうが、こういう作品にも顔を出していたのかと驚く。逆に言えば、リアルタイムで知らないので、本当に新宿を代表する文化人だったんだなと。他に出演している作品はあるのだろうか。自分が知っているのは、若松孝二が監督した田辺茂一の主演作というか記録映画『夢のサンフランシスコ』のみだが。
伝説的に聞く女性関係の派手さもバンジュンにおちょくられていた。流石『夜の市町』だ。『夢のサンフランシスコ』では、立川談志にイジられていたが、ちょっと気不味そうな雰囲気だったので、大っぴらに触れてはいけないのかと思っていた。
中野ブロードウェイに行く。タコシェで『映画秘宝 2008年09月号』と、『狂気の海・パンフレット』を購入。
秘宝は、名画座特集。シネマアートン下北沢への言及から始まり、現在の都内の名画座について。本文中には書いてないが、最近、神保町シアターの支配人氏が元三百人劇場支配人と知って、驚くというよりも深く納得したので(今日からやってる『「本の街・神保町」文芸映画特集Vol.4 ソビエト映画 ロシア文学全集』のチラシなんて、完全に三百人劇場だ)、名画座の継承というものを考える。文芸坐が復活しなかったら、シネマヴェーラが出来なかったら、シネマアートン下北沢が閉館した後の東京の名画座文化は、ラピュタ阿佐ヶ谷などに負担がかかったものになっていただろう。東京での生活が5年半ほどしかない自分には、大井武蔵野館の記憶もない。住み始めて間もなく、自由が丘武蔵野館や中野武蔵野ホールが閉まり、実際のところ、カルト系の作品などは、せいぜい新文芸坐か浅草東宝、たまにテアトル新宿のオールナイトでかかるかどうかというもので、シネマヴェーラが出来るまで断絶されていたような印象がある。
その他、帰ってきた東宝ゴクラク座と、一気にDVDが出る『ズベ公番長』と『女番長ブルース』の記事など。それから、『片腕マシンガール』への鈴木則文御大の檄文が凄い。
『狂気の海』パンフは、映画パンフ界の帝王・松島出版の最新作。それだけで購入しなければならないが、今回も相変わらず濃い。切通理作、井土紀州両氏に、シナリオ掲載に絵コンテと、凄い凄い。
ただ、タコシェのいちばん上に置いてあったパンフに貼ってあるシールに、『狂気の海』パンフレットと書いてあるのは当然としても何故か内容説明が、、『空き部屋』『たまもの』『たそがれ』馬場当インタビューとか書いてあるので、?となる。そんなお得なパンフなら嬉しいが、たぶん松島出版か、タコシェが間違ったんだろうと、レジで買う際に軽く何かいまおかさんのシナリオ集の説明が書いてますけどなどと伝える。
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池袋ジュンク堂で、『キネマ旬報 2008年8月上旬号』購入。
前号で危惧した水野晴郎追悼をちゃんとやっていて安心する。品田雄吉と河崎実に語らせてバランスも取ってある。ただ、品田さん、何故俺が語るの?と言う素振りなのがちょっと寂しいが。田山力哉が生きていれば田山が語ったろうが。案外小林信彦の方が『映画評論』を中心に60年代の水野を活写できるかもしれない。
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