『トカレフ』『山本浩司作品集 MOSSAN-01』『聴かれた女』『西瓜』『二人が喋ってる。/金魚の一生』『濡れた荒野を走れ』『セックス・ハンター 濡れた標的』『(秘)女郎市場』『戦後残酷物語』
(4)『聴かれた女』(山本政志)
(5)『西瓜』(ツァイ・ミンリャン)
(6)『二人が喋ってる。/金魚の一生』(犬堂一心)
(7)『濡れた荒野を走れ』(澤田幸弘)
(8)『セックス・ハンター 濡れた標的』(澤田幸弘)
(9)『(秘)女郎市場』(曽根中生)
(10)『戦後残酷物語』(武智鉄二)
大阪・日本橋「道楽」で(2)〜(6)を購入。(2)〜(4)は三枚買えば2000円という「道楽」価格。
(2)『トカレフ』は、作品そのものもだが、公開時の各映画誌が面白かった。『キネマ旬報』は阪本順治×石井聰亙の対談と山口猛の評論。『映画芸術』は荒井晴彦×渡辺武信が擁護派と批判派として対談。次号では阪本順治を招いて、荒井、寺脇研の長い長い鼎談に加えて、ロングシノプシスやストラクチャーも掲載。映芸は、分からない分からないの大合唱だったこの作品を多面的に捉える試みが刺激的で、自分が以降『映画芸術』を高いと思いつつも定期購読するようになったのは、この特集が面白かったからだ。公開から15年経ったことだし、『トカレフ』とその批評周辺を今調べると面白いのではないかと思う。特にリアルタイムで間に合わなかった世代あたりがやれば。『キネマ旬報』『映画芸術』『シネフロント』『カイエ・デュ・シネマ』『シナリオ』…あたりを当たるだけでも面白いと思う。北野武は二人いらない、とか言う人もいたり。
ただ、個人的には『トカレフ』に関しては一貫した姿勢を持っていない。初見時はよく分からないけど好きみたいな漠然とした感じで、ビデオで見返すにつれて段々興奮してきたが、大学に入ると『トカレフ』好きがやたらと多く、それはそれで反発を覚え、『トカレフ』よりも、『どついたるねん』が『ビリケン』が『傷だらけの天使』が、という主張に流れたり、『新・仁義なき戦い。』を観た後は、やはり『トカレフ』が、と思ったり、なかなか素直に観ていなかった気もする。中古ビデオも持っているが、せっかくDVDで購入したことだし、『トカレフ』をゆっくり観てみよう。15年経つと観方が変わるか。ところで阪本順治の新作が香○慎吾の『座×市』というのは本当か?
(3)『山本浩司作品集 MOSSAN-01』は、以前レンタルで観たが、今思えば、よくあんなに早い段階で作品集が出たものだと思う。確かPLANET+1の自主制作ビデオが先に発売されていて、その後アップリンクからこのDVDが出たのだったか。音声解説に山本浩司・山下敦弘・本田隆一他が参加。
収録作品は『BOOMERAN2000』『地球の最後の最初の男』『宇宙の人』『SMOKING’ GANG』『滅亡ず。(古代遺跡に漫才は可能か?)』『遠吠え喫茶』『ゴースト・オブ・ギャーング』。
『BOOMERAN2000』は、大学に入った時に新入生歓迎祭の映研の上映会で観たか、文化祭の鬼プロ方面の人たちの作品が上映される「ガンヌ映画祭」で観たかはっきり覚えていないが、何せ強烈だった。山本浩司は鬼プロ方面の中では珍しく特撮めいたと言うか、8mmでコマ撮りやシネカリ、マスク合成をやったりと異色の存在だった。で、観ながらコレコレ、この方向と思ったのを覚えている。佐藤佐吉さんが司会の「東京ガリレオ映画祭」でいきなりこの作品が放送されたので驚いた記憶も。
『地球の最後の最初の男』も、スケールのデカイ話を極めてミニマムな世界観でやるのが好きだった。
(4)『聴かれた女』は試写で観た。ちゃんとロマンもポルノもあって感心した。こういうのも撮れるから山本政志は凄いんだなと思った。この時期は、ビデオ撮りながら量産していた山本政志の底力を見せられた。仙頭武則と一時期『熊楠 KUMAGUSU』を再開させるという話もあったようだが、仙頭さんは当面表舞台に出てこないだろうから再開は難しいのか。でも、呪われた映画作家に祭り上げられる前に『アトランタ・ブギ』を撮ったり『聴かれた女』を撮って自身と周りに活を入れる山本政志は好きだ。
(5)『西瓜』は、昨夏道楽に来た時は『楽日』『迷子』はあるのに『西瓜』だけ無いという理不尽な状態だったが目出度く入手できた。500円。『迷子』は監督作ではないから単純に比較できないにしても、この三本の中では『西瓜』がいちばん好きだ。
(6)懐かしのトゥナイト主演映画『二人が喋ってる。』が1200円だったので購入。『大阪物語』もこの作品が無ければ生まれなかった。
(7)〜(10)は別の店で。ジェネオンのロマンポルノが新品50%OFFで投げ売りされていた。しかも店の一番奥で。買うとなれば幾らでも買いそうになり、ストップが効かない状態になり、持ち合わせが足りなくなってカードを切ろうとしたが、現金のみでしか取り扱わないというので、逆に幸いに思ってよくよく考えればこれはいらない、あれも別に良いかと減らして、結局4本だけ購入。各1980円。
(7)『濡れた荒野を走れ』は長谷川和彦脚本の傑作。徹底した反権力を突き詰めるとここまで行くんだなと感嘆させた。明らかにゲリラ撮影でそのまま逃げたと思われる警察車両の踏切遮断機損壊描写も凄い。
(8)『セックス・ハンター 濡れた標的』は大和屋竺脚本。実は未見作。だから購入を決めていたが極力安い時にと思っている内にズルズル来てしまい、ようやく。
(9)『(秘)女郎市場』は荒木一郎原作の田中陽三脚本。このアナーキーな無茶っぷりが初見時はついていけなかった。そういえば今年は田中陽造の新作『ヴィヨンの妻』が公開される。橋本忍や田中陽造がTBSやフジテレビ製作の映画で脚本を書くのは、THE MOVIE化防止策としてかなり有効だと『私は貝になりたい』を観て思った。『沈まぬ太陽』は西岡琢也だというし、メジャー映画の脚本は、荒井晴彦世代ぐらいまでを起用年齢の下限にすれば映画らしさを多少取り戻すのでは。
(10)『戦後残酷物語』は、武智鉄二の特集上映で観たが、自分が観た限りでは武智作品の中で最高傑作は本作なのではないか。名が通っているのは『白日夢』(愛染恭子と、いまおかしんじの共同監督でリメイク予定。脚本は井土紀州?)や『黒い雪』だろうが、作品として最もマシ(失礼)なのは、本作だと思った。
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