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1)「金田一耕助 the Complete」(ダヴィンチ特別編集)MEDIA FACTORY 

金田一耕助The Complete―日本一たよりない名探偵とその怪美な世界 (ダ・ヴィンチ特別編集 (6))
 閉店前のジュンク堂で従業員通路横に積んであったので、奪って購入。明日発売なので早く買えて良かった。ざっと目を通しただけなので、感想は後ほど。まあ、入門書的には良いのでは。資料的にも満遍なく映像、小説双方バランス良く扱われているし。
 目玉の角川春樹インタビューが最高。思えば93年8月末に逮捕されて以来、初公判迄新聞のスクラップを欠かさず、中学時代を無意味な労力に費やしたと思わなくもないが。御蔭で、クスリと一緒にアメリカから裏ビデオも買うように部下のカメラマンに指示していたという初公判時に明らかになった些細な事柄を今でも覚えている。角川映画のプロデューサーであり監督であり、「ルビー・カイロ」や「ハリウッド版REX」でハリウッド進出しようとしていたヒトが洋ピン裏モノ欲しがるかと。
 『千葉真一に移された風邪はかなり悪質のものだった』という千葉真一に失礼極まりない書き出しで始まる角川春樹の名著「試写室の椅子」も古本屋で見つけたし、1997年に角川春樹が監督復帰したリメイク版「時をかける少女」も当然観に行ったので、今回の復帰は嬉しい。
 しかし、インタビューでも飛ばす飛ばす。今年62歳になる角川春樹は、或る意味奥崎謙三とか佐川君系のオーラを出し始めていて、4年間の獄中生活がこれまでの社会的体面を捨て去ったんだなあ、と。不遇の市川崑と大河がコケてヒマだろう石坂浩二を「犬神家の一族」で使ってやった。出版会も映画会社もバカばっかり。刑務作業…材料をチェックして、ぜんぶ作って、検品までやった。それを全部やれるのは二人だけ。ラストに一生不良でいようと高らかに宣言。相変わらずと言うよりも、進化して帰ってきたというか。北村龍平ビッグマウスどころか、角川春樹の発言禄を今の時代に出すべきだ。戦争大作映画を企画しているらしいが実現成るか。
 しかし、一時代の角川映画は正統に評価しなければ、今日、日本映画が存在していたかどうか。大体「魔界転生」や「新戦国自衛隊」、TVだが「犬神家の一族」「人間の証明」など、未だに角川春樹の遺産の再生産でお茶を濁しているだけではないか。もし、角川春樹大映と合併後の角川映画を仕切っていたら、どんな映画を作っていただろうと想像しなくもない。少なくとも、諸問題で製作中止に追い込まれた作品や夢の企画を掬い上げる度量を持っていたヒトだけに、その失脚と不在が、この10年の日本映画を幸せにしたとは思えない。

2)「シナリオ 7月号」

「世界の中心で、愛を叫ぶ」「ラブドガン」「天国の本屋」収録。「世界〜」は完成台本だったので失望。
やはり、坂元裕二と揉めたんだろうか。