映画の断片

 友人が持ってきてくれたDVDで「長靴をはいた猫」を観る。テレシネし直しているので、目が覚めるような発色でDVD化されており驚く。
 幼少時にTV放映で観たきりだが、異様に面白く、全く現在から観ても遜色がない。しかし、注目は原画宮崎駿の存在で、友人の指摘を聞きながら観ていたが、「どうぶつ宝島」同様、驚くべき展開が後半に用意されている。「ルパン三世 カリオストロの城」のクライマックスと全く同じシークエンスをやっているのだが、その酷似ぶりには驚かずにはいられなかった。何せ例の屋根から屋根へのロングジャンプまでやっているのだから。「ルパン三世 カリオストロの城」と「天空の城ラピュタ」の共通項どころのハナシではない。
 監督のクレジットがでてからの宮崎作品しか観ていなければ、彼の全体像どころか、監督としての宮崎駿を掴むことすらできないと痛感させられた。「太陽の王子 ホルスの大冒険」「空飛ぶゆうれい船」「アリババと40匹の盗賊」等、原画としてクレジットされている作品も要注目である。考えてみれば、宮崎色濃厚且つ「となりのトトロ」の原型であり、画面設定と原画を担当した「パンダ・コパンダ」は前述の作品群と製作年度は連なっているわけで、宮崎駿の源流として東映動画作品を丹念に観返す必要があるようだ。
 因みに「長靴をはいた猫」には中原弓彦(現小林信彦)がギャグ監修としてクレジットされている。「コラムは踊る」等でその事実は知っていたが、脚本が井上ひさしであることから、「九ちゃん!」の作者陣のつきあいから小林が担当することになったんだろうかと考える。