展示 

molmot2004-08-29

1)「日本漫画映画の全貌」(東京都現代美術館)

 

 東京都現代美術館で行われている「日本漫画映画の全貌」へと最終日も近くなった為、行く。友人のアニメーターの解説付きで見た為、非常に楽しめて幸いだった。
 戦前の個人作家、戦後の「白蛇伝」に始まる東映動画の系譜からその正統たるスタジオジブリに到る漫画映画史を豊富な原画、イメージボード、または時代の趨勢によって移り変わっていく作画机の変貌によって克明に見せてくれる。戦前の作品は馴染みがない作品がほとんどだが、その質の高さに目を見張り、東映動画の諸作における若き宮崎駿の才能ほとばしるイメージボードには躍動感が溢れており、既にアクションの見せ方における、どう動かすか、どうフレームを切るかが適格に示されており、紛れもない才人であることを再確認させられた。ジブリ関連の展示は既に出版されているものも多く、現物が見れたという感動が先立つが、やはり素晴らしい。
 独断専行という風評の強いアニドウの、なみきたかしが中心に居るので偏重していないかという杞憂があったが、戦後を東映動画の栄光の歴史からジブリへ、という纏め方なので申し分なかったと思う。展示の規模からして戦後アニメ史をカヴァーしようとすると収集がつかなかくなる恐れがある。手塚治虫という存在を完全に消していることへの異議申し立てがあって然るべきだし、戦後アニメ史における手塚の存在をどう評価するかという議論の活性化があっても良いと思う。とは言え、一般的にはホワイト手塚像が未だ流布しているので、ブラック手塚像をもっと知らしめてこそ、手塚の正当な評価に繋がると思うが。
 2500円する分厚い展示パンフレットを購入したが、資料性があり重宝できる一冊だと思う。