映画 「バレエ・カンパニー」

molmot2004-09-19

1)「バレエ・カンパニー」[The Company] (Bunkamuraル・シネマ) ☆☆☆★★ 

2003年 アメリカ/ドイツ  カラー シネマスコープ 112分 
監督/ロバート・アルトマン  出演/ネーヴ・キャンベル マルコム・マクダウェル ジェームズ・フランコ バーバラ・ロバートソン

 ロバート・アルトマンの新作だが、この監督の作品は体系的に言える程観ていない。
 直ぐにビデオで撮影していることは判ったが、おそらくDVCPROかDVCAMあたりか。最近は「ヴァイブレーター」にしてもビデオ撮りであることを事前に一切いわない。24Pは、まあフィルムに近い質感に持っているから未だ良いとしても、ビデオ画質のものをフィルムレコーディングしているなら、その旨映画誌にでも記載すべきだ。本作の場合は、ドキュメンタリータッチで描く上で、有効に作用しており文句はないのだが。しかし、実際の舞台での踊りのシーンは35mmで撮るべきだったと思うが。一部35を使っているのかなと思う箇所もあったが不明。この辺りも明解にすべきだと思う。
 バレエカンパニーの集団劇であり、あくまでバレエを主にし、その合間にそれぞれの僅かなエピソードが挿話的に描かれる。カンパニーやバレエのレッスン、リハーサル、本番の過程が、劇性を排し、非常に生々しく描くことに成功しているので、そんな僅かに挟む程度の安っぽいエピソードなど不要に思えて当然なのだが、そこがアルトマン、全く無駄になっていない。セミドキュメンタリーとして優れた描写を引き出しているだけに、ドラマ部とのバランスが難しいのだが、あくまでバレエを見せることに主眼を置きつつ、さりげなくドラマ部が配置され、その品の良さに感心した。
 ネーヴ・キャンベルが、ここまでできることにも驚いたが、カメラが滑らかにバレエカンパニーに入り込み、観客にそっと見せて、また去っていく様な軽やかさが良かった。