映画 「ネバーランド」

molmot2005-02-23

25)「ネバーランド」[Finding Neverland]
 (Tジョイ大泉) ☆☆☆

2004年 イギリス/アメリカ カラー シネスコ 100分 
監督/マーク・フォースター   脚本/デヴィッド・マギー  出演/ジョニー・デップ ケイト・ウィンスレット ジュリー・クリスティ ラダ・ミッチェル ダスティン・ホフマン
 
 どうにも「ピーターパン」の関連作の出来と言うのは芳しくない。モトが素晴らしい名作すぎるせいか、「フック」にしろ、本作にしろ、かなりの凡作である。
 ジェームズ・バリのピーターパン創作秘話といった趣ではあるのだが、エピソードが拡散してしまっている。
 観ていると、最も重要な箇所はピーター達と一夏をバリの別荘で過ごすエピソードに集約されていると一目瞭然なのだが、その肝心な箇所が極々サラリと流されてしまっている。大体近年の作品としては珍しい100分という素晴らしい上映時間を有しているのだから、この別荘での少年達との交流に重点を置かなければ、一体何の映画かということになってしまう。ところがマーク・フォースターは、妻との関係、ピーターの母であるケイト・ウィンスレットとの関係、彼女の病気、更に彼女の母と折り合いが悪い、劇団内のエピソードを何のメリハリも戦略もなく入れていくから、非常に中途半端な印象になってしまう。嘗てなら、90分もあればこれぐらいのエピソードを詰め込んでも十全に見せきる技術を持った監督がいたが、マーク・フォースターにそれを期待するのは荷が重すぎたようだ。
 又、全編に渡って現実とファンタジーが交差するのだが、それらの処理が極めて下手糞で、敢えて狙ってやっているのであろうワイプの使い方も感心しなかった。肝心のファンタジー描写への繋げ方が悪いから終始居心地の悪い思いで観ていた。まあ、それを言い出せば全編フワフワクレーンの多用なのは今更どうこう言っても仕方ないから何も言わないにしても、公園に座っているデップを横から捉えたクレーンによる移動ショットで、思い切りカクついていたのは呆れた。
 個人的にジョニー・デップが出ている映画は観に行くと決めているので、相変わらず板井昭浩に酷似した眉間に皺を寄せたデップを見ているだけで悪い気はせず、又またかよと言われそうだが似合うのだからしょうがないコスチュームプレイでもあるので、その点は悪くなかった。
 ケイト・ウィンスレットも「日陰のふたり」に出ていた頃は好きだったので、こういった役では悪くないが、随分老け込んだ感がある。
 ダスティン・ホフマンは、楽屋落ち的楽しさがあるが、まあ「フック」が全く大した映画ではないので、感銘は受けない。
 個人的にはアラの目立つ凡作だった。