雑誌 「キネマ旬報 3月下旬号」「ダ・ヴィンチ 4月号」

27)「キネマ旬報 3月下旬号」 キネマ旬報社
28)「ダ・ヴィンチ 4月号」メディア・ファクトリー


ダ・ヴィンチ 2005年 04月号
 27)金子修介の支持者としては、2年振りに新作「あずみ2」が公開されて嬉しいのだが、ムック本等で金子のインタビューは見受けられず、本作が撮影・阪本善尚だったり編集が掛須秀一だったり、金子と初めて組むスタッフばかりだったということもあり、編集で対立したなどという噂も耳にしていたので、キネ旬でようやく金子のインタビューが読めた。デビュー以来、ほぼ一貫して年に1本撮ってきた金子が「恋に唄えば」以来3年も新作が無い状態が続くというのは異常事態なのだが(昨年TVでの「スカイハイ2」「ウルトラQ dark fantagy」を夫々2本撮っているのでまだ乾きは癒されるが)、それについて金子は、大作2本が飛び、脚本も完成していた「蝶の戦記」が中止になり、仕事が具体化でキず、それに付け加えて、自分がベテランになり、プロデューサーが若返った為に自分に声が掛からないのだろうと語る。
 ベテランと言ったってと、フト金子の年齢を見ると今年で50歳であることに気付き、意外な気がしたが、確かに大森一樹と5年ほどのズレを示しながら80年代後半〜90年代にかけて、彼らがプログラムピクチャー監督として要請されてきた場に、現在彼らの席があるかと言えば、皆無ではないにしてもかなり少なくなっている。金子が『イス取りゲーム』と形容する席に現在優先的に着くことができるのは、行定勲であり、北村龍平であり、犬童一心であり、大谷健太郎であったりする。行定勲を除く他の方々の演出技量には相当な疑問があるのだが、かと言って大森や金子が良いとは言えないのが辛いところではあるが、少なくとも金子なら最低限の演出の基本を外すことはない。これだけ漫画・アニメの実写化が盛んなのに金子の登板が要請されないのは、金子が言う通り、プロデューサーが金子よりも若く、多少未知数であろうとも北村龍平犬童一心大谷健太郎あたりと組みたいと考えるのは理解できる。
 厳しい批評も聞こえてくる「あずみ2」だが、個人的には「ローレライ」よりも遥かに期待している。金子は再び「蝶の戦記」の映画化に挑むそうだが、素直に実現を期待できるとは言い難い。とは言え既に新作として森恒二原作の「ホーリーランド」の連続ドラマ化が決まり、4月から放送が始まるので、順調な仕事振りである。脚本黒田洋介、撮影・高間賢治、13話中、金子は5話程担当し、それ以外は金子組の助監督達が担当する完全なる金子帝国の作品になる模様で、ここらで本領発揮を願いたい。