イベント 「若松孝二×宮台真司 若松孝二の地図」

molmot2005-03-20

3)「若松孝二×宮台真司  若松孝二の地図」 (Naked Loft)

 流石に2日連続で若松孝二の顔を拝みに行くとなると、我ながら物好きと思う。
 大体、昨年11月の「17歳の風景」の上映以来、青山ブックセンター、「夜にほほよせ」の特別上映、新文芸坐の2週に渡るオールナイトと付き合い続けている。まあ、それもこれも1998年の60年代の諸作のリヴァイヴァルで熱狂した残り火が僅かに燻ったからである。
 宮台真司は嫌いなので、パスを決め込んでいたが、予定が空いたのと、前回の足立正生の回が、ゆったりと長時間に渡って話しが聞けたので行くことにする。とは言え、若松と宮台となれば、足立の時より遥かに人が増える、それも連休の中日だから、と思って開場時間にNaked Loftに着いたが誰もおらず、開演時間の19時になっても自分を含めて二人。19時半になり15人程の入りでようやく若松・宮台登場。
 ま、雑談と喧伝されているだけあって、正に雑談。前半は宮台が喋りすぎで不快。最近、映画作家のインタビュー等で、肝心の作家よりもインタビュアーが喋りすぎる傾向があるが、若松にハナシを持っていくまでが長い長い。
 幾つか興味深いハナシが聞けたのは有益だった。殊に、例の足立正生が収監されている最中に若松孝二が獄中監督させるとブチ上げていた件で、「時効なし。」では足立の意図を生かせて撮れる監督の目途もついたと書かれていたが、具体名は書いていなかった。新人なのかと想像していたが、今回若松の口から出たのは、瀬々敬久で、驚きと納得と、足立が撮るよりも遥かに完成度が高くなってしまうではないか、などと思いもしたが、「映画芸術」別冊の足立特集の瀬々の発言を聞けば、確かに足立の方法論をうまく生かせる存在だと思う。個人的には、監督・若松、脚本・井土紀州、あるいは井土・足立の共同脚本というのを是非観たいと思う。
 先日の「夜にほほよせ」の上映で疑問に感じた点、つまりは若松プロで若松がプロデュースした作品は、基本的に脚本、助監督を務めてきた者に限定されており、実現しなかった黒木和雄林静一のみが、若松プロと何の関連もない。何故彼(等)を起用したのか?という質問をしてみた。
 若松の答えはシンプルなもので、当時、林静一の人気がかなりあったので、儲かるのではないかないかと思って撮らせてみた。というものだった。林の絵は当然ながらスタンダードサイズなのでそれをシネスコで撮るのに吉岡康弘が苦労していた、といったエピソードが語られた。
 宮台真司は、割合映画を観ている方なので、継続して見続けていない癖にいい加減なことを言う文化人とは違うと認識しているが、業界システムやハリウッドと日本の製作システムの違いを、実に大雑把な認識で、若松にハナシているのは呆れた。とは言え、新婚2週間の若松・足立映画好きの気の良いオッサンであるには違いない。
 例によって少人数で4時間近く若松の喋りが聞けたのは楽しかった。