角川映画ヒロイン発掘オーディション

 オーディション自体は誠にケッコーだと思うし、主題歌セットで売りまくる角川商法は大好きだ。
 唯一点問題にしたいのは、『主演映画は「野性の証明」(78年)から「ぼくらの七日間戦争」(88年)までのヒット作からリメークする。』という件で、リメイクが、と言う以前に何故「野性の証明」から「ぼくらの七日間戦争」までなのか。「犬神家の一族」や「人間の証明」は先ごろフジテレビでリメイクされたからか。ならば「ぼくらの七日間戦争」以降、もっと言えば「ぼくらの七日間戦争」と併映された「花のあすか組!」はイカンのか、とか「幕末純情伝」はイカンのか、とか言いたくもあるが、まあ考えられるのは、かつての角川3人娘が出ていた作品、それも最近リメイクされていない作品−ということで「セーラー服と機関銃」や「ぼくらの七日間戦争」あたりが有力かと。
 それにしても「戦国自衛隊1549」にしてもそうだが、今の角川映画は実に後ろ向きだ。DVDのクレジットから角川春樹事務所のクレジットをわざわざ外し、いくら裁判で角川映画角川春樹にではなく、角川書店著作権があると認められても、やはり映画はプロデューサーが主となるもので、殊に角川映画のようなワンマンプロデューサーが中心となって企画を進めた作品郡は紛れもなく角川春樹の印が押されてあり、それを実に表面的な誤魔化しで角川春樹の名を消しながら、角川春樹の製作した作品だけは、しっかり流用しようとする現在の角川映画は、かなりタチが悪い。大体、何故リメイクばかりなのか。新人ならそれに相応しい原作を角川から出し、それを映画化すれば良いではないか。角川春樹時代は第一作の「犬神家の一族」が、片岡千恵蔵の「犬神家の謎 踊る悪魔」のリメイクであったことを除けば映画化はいづれも初めてのものばかりだし、「ぼくらの七日間戦争2」までは続編にも手を出していない。(もっとも、釈放中に角川春樹が監督したのは「時をかける少女」というリメイクなのだが。そういう意味では現在の角川春樹も同様の批判を受ける立場にあるのかも知れないが、それは今後製作される作品を観なければわからない)
 現在、角川春樹は「男たちの大和」の企画に名を連ねているが、これは純粋な角川春樹のプロデュース作品とは言えないし、大和を描いた作品は過去にもあるが、それでも「戦艦大和」以来、市川崑もクランクイン直前に中止になった大和映画を撮影まで持っていけたことは賞賛されるべきだし、金をかけて大和の一部を再現する心意気は、近年の質に疑問を感じるCGでも平然と客の前に出す作品とは一線を画す。「戦国自衛隊」をリメイクして得々としている連中とは違うのである。
 と、ここまで言っておいて言うのも何だが、リメイクに「ぼくらの七日間戦争」を推すのは、映画版が「戦国自衛隊」の使い古しの戦車を流用して不条理に戦車を出したりして失敗作に終わっていたからで、原作は全共闘世代を親に持つ中学生がバリケード封鎖して立てこもるという素晴らしい設定を、映画は完全無視していた恨みがあるからで、足立正生の「女学生ゲリラ」の同工異曲ではあるが一度は原作に準じた設定で映画化してほしいと思うが、全共闘世代の子供という設定が既に使えなくなりつつある危惧感はあるが。