雑誌 「映画芸術 411号」

43)「映画芸術 411号」 編集プロダクション映芸

 オーソドックスに日本映画の諸作を特集。とは言え鈴木清順若松孝二から、「UNDER COVER JAPAN」批評等、モロモロ押さえてあって読み応えがある。本来「キネマ旬報」も、あんなくだらない舞台人のパロディにもならない連載等をさっさと切って、これぐらいの濃さの記事を出してくれないと困るのだが。
 志摩敏樹インタビューで、「おそいひと」が今秋第七藝術劇場で公開が決まったことを知る。PLANET studyo plus oneでひっそり流して終わってもおかしくないような内容だったので、理解あるプロデューサーに出会えたことで、幸福な形で世に出ることは良かったと思う。現在、森崎東の新作を動かしているようで、是非実現してほしい。こーゆープロデューサーが日本映画を支えている証拠としてココを見れば一目瞭然なのだが、夫々の作品に個人的賛否はあるのだが、いずれも必要な作品である。
 殊に柴田剛のような、寡作になるのではなく絶対的に責めの姿勢で顰蹙と罵声を浴びながら量産することで、何者であるか、または何者でもないかがわかるような映画作家を擁護する場として貴重だと思う。
 荒井晴彦は現在「ららら科學の子」の脚本を書いているとのことで、これは期待したい。難航しているようだが、この題材を納得できる脚本に仕上げられるのは、やはり荒井晴彦だ。68年とエンターテインメントを並立させられるのも。
ららら科學の子