映画 「オペレッタ狸御殿」

molmot2005-06-03

90)オペレッタ狸御殿 (ワーナーマイカル板橋) ☆☆☆★★

2005 日本 「オペレッタ狸御殿」製作委員会  カラー ヴィスタ 111分 
監督/鈴木清順     脚本/浦沢義雄     出演/チャン・ツィイー オダギリジョー 薬師丸ひろ子 高橋元太郎 山本太郎 篠井英介 市川実和子 パパイヤ鈴木

 相当評判が悪かったので、覚悟を決めていたが、案外と言うか殊の外楽しめた。勿論、楽曲の質が低いとか、デジタルお嬢は全く不要とか、85分〜90分に収めるべきだったとか、ラストがシベ超のどんでん返し版を観ている時の如く、このまま永遠に終わらないんじゃないかと思うほど、いつ終と出ても良い様なシーンが10数分続いたり(「ピストルオペラ」同様ヒラミキがバカ!と言って終われば良いではないか)、シネアルタで撮影したであろう24Pの映像がかなり不調で、この程度の合成なら35で撮った方が良かったのではないかとか、そのせいでチャン・ツィイーが全く綺麗に撮られていない、篠田昇が生きていればこの作品に合ったのではないかとか(と言っても清順は、あーゆー技巧は嫌いか)とか、諸々不満箇所はあるのだが、飽きずに楽しめた。これは一重に、本作のようなセットの使い方や、FIXで真正面から撮った画が個人的に大好きだからで、ひたすら心地よかった。だから歌がどうこうとか、リズムが、とか一切興味ないし、ロクに観ていない。ひたすらどう繋いで、次にどんな画が来て、どう人物が動くかが、ただひたすら楽しかった。
 別に清順は奇抜なことは一切やっていない。人物が動く時はカメラを止め、カメラが動く時は人物は動かないという基本に忠実に撮っているだけで、素晴らしいのはやはり、生と死の境界、あっちとこっちのハナシを相変わらずやっている(続く)