映画 「性戯の達人 女体壺さぐり」

『夢の中へ』公開記念“映像詩人 園子温”特集
93)性戯の達人 女体壺さぐり (テアトル新宿) ★★

2000年 日本 BAD FILM コネクション   カラー ヴィスタ 59分 
監督/園子温     脚本/園子温     出演/ 夢乃 石川雄也 神崎優 園子温

 前回観た「男痕 −THE MAN−」よりも若干観客が多かったように思えたのは、やはりホモ映画よりも普通のピンクの方が入りやすいからか。確かに、ちょっと園子温好きの奴に「男痕 −THE MAN−」を誘ったら、男女共に興味はあるがちょっと‥という反応が返って来た。で、「性戯の達人 女体壺さぐり」ならば抵抗なく来た。
 ま、それは兎も角、上映が終わり、扉を開けたら下手側の椅子に腰掛けた園子温監督に村上賢司監督が、何ですかこの映画?と言い、それを受けて園監督が、くだらないだろう、と言い、くだらないっすねえ、と返すという、映画監督二人がくだらないやりとりをしていたのが目に飛び込んできたが、正にそんな作品だった。しかし、腹が立つとか金返せというものではなく、ピンク映画館で3本立てで観れば実に楽しめるプログラムピクチャーになっていると思う。
 「男痕 −THE MAN−」は、いかにも園子温が撮った作品という感じだったが、本作は、実にわかりやすいコメディになっていて、陶芸家の女性が病身の旦那と弟子達との男根そっくりの壷作ったりするハナシで、1時間しかないから、くだらない悪ふざけにも、それほど退屈せずに付き合えた。
 「男痕 −THE MAN−」を観たときにも思ったが、園子温は案外律儀にピンク映画として成立させている。もっと滅茶苦茶にしてしまっても良いのにと思ったし、園子温の出自を考えれば、そういった作品になってしまっていても驚かないし、むしろそれを期待する向きもあるのだが、カラミもかなりしっかりと撮られている。
 園子温の狂気性を帯びた怪演が見ものである。