映画 「バットマン ビギンズ」

molmot2005-06-30

105)バットマン ビギンズ 」[BATMAN BEGINS] (Tジョイ大泉) ☆☆☆

2005年 アメリカ カラー シネスコ 140分 
監督/クリストファー・ノーラン     脚本/クリストファー・ノーラン デイビッド・S・ゴイヤー     出演/クリスチャン・ベール マイケル・ケイン リーアム・ニーソン ケイティ・ホームズ ゲイリー・オールドマン 渡辺謙 モーガン・フリーマン

 バットマンの熱心なファンではないが、何故か「バットマン」「バットマン リターンズ」「バットマン フォーエバー」「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」と毎回劇場に通っている。リアルタイムで観た際の夫々の記憶には良い印象はない。唯一「バットマン リターンズ」のみLDで再見して意外な程秀作だったと気付いた。
 97年で中断していたバットマンシリーズも、近年のハリウッドの企画不足の中で放置されるわけもなく、これまでにも「バットマンダークナイトリターンズ」を映画化する「バットマンvsスーパーマン」をウォルフガング・ペーターゼンが監督するとか、ダーレン・アロノフスキーが「バットマン:イヤーワン」をやるとか様々な企画が聞こえてきたが、結局完成したのはクリストファー・ノーランによる「バットマン ビギンズ」で、「バットマン:イヤーワン」との違いはどーなんだとかあるが、映画同様原作の熱心なファンではないので、詳しくは知らない。
 映画でのバットマンシリーズにおいては、ジョエル・シュマッカーの2作がひたすら拷問の様に辛かったということに尽きるのだが、その点本作はバートン側な作りなので、あの居心地の悪さは回避できた、かと思いきや、やはりこれはこれで辛かった。
 ヒーローものは幼少時に観た「スーパーマン」以来好きなのだが、未だ苦手なのが、ヒーローになるまでが描かれることで、「スーパーマン」でも幼少時、青年期を経て、スーパーマンになってデイリープラネットに出社するまで、たっぷり90分はかかる。だから「スーパーマン」より「スーパーマンⅡ 冒険篇」の方が断然好きなのは、初めからスーパーマンが出てくるから。そういう意味で、「バットマン」は、開巻からバットマンだったので良かった。
 それだけに、長々とバットマンになるまでを描かれても興味緒対象外なのだが、クリストファー・ノーランは悪い監督ではないにしても、アクションの見せ方が下手なので、あっという間に消える渡辺謙を含めて前半はかなり退屈だ。
 俄然締りが出るのは、マイケル・ケインが登場してからで、流石の貫禄である。以降はゲイリー・オールドマンモーガン・フリーマンが登場するので、モロに「ブレード・ランナー」の影響を受けたゴッサム・シティに違和感を覚えつつ観ることはできたが、やはりこの内容で140分は長い。
 ゴッサム内の問題と、開巻のリーアム・ニーソンが後半入ってくる構造がうまく行っていない。
 ま、シリーズの整合性なんてものは「バットマン フォーエバー」以降、完全に崩壊しているので気にせず観たら良いが、福知山なラストを含めて、商業用に成立させる為にクリストファー・ノーランに不向きな、言ってしまえば得意としない要素も作らねばならなかった箇所は、やはり不備が目立った。そういう意味でもティム・バートンのバランスの良さを思い知った。