TV(OA/VIDEO/DVD)「ETV2001 映画監督・河瀬直美・生きたいから撮る」

1)「ETV2001/映画監督・河瀬直美・生きたいから撮る」(VIDEO) ☆☆☆★★

2001年 日本 NHK カラー スタンダード 分 
演出・構成/
 「ゆけゆけ二度目の処女」と同じテープに入っていたので久々に再見。放送後に二回程観た。時期的には「火垂」公開後で、「きゃからば」の編集中の河瀬を描いている。
 インタビュアーを務める演出家が不甲斐ないのでロクに河瀬を反応させることができていないのだが(まあ河瀬も『愛ってなんですか』と答えれないようなことを聞いて来るわけだが)、仙頭との離婚に踏み込んでいるのはかなり好感が持てる。この作品を観ていると、未だ正式公開されない「きゃからば」が観たくてたまらなくなる。確か「沙羅双樹」が公開された際、同年中に公開されるというようなことを耳にしていただけに残念だ。こんなことなら上映の機会があった時に行っておけば良かった。  
 河瀬直美の作品は、「につつまれて」「白い月」「かたつもり」「天、見たけ」「陽は傾ぶき」「萌の朱雀」「杣人物語」「万華鏡」「火垂」「追臆のダンス」「沙羅双樹」「朗読紀行『火宅の人』」を観たぐらいで、膨大に撮っているヒトなので全貌が掴みにくいが、やはり突出して好きなのは「につつまれて」で、これを観たから今でも河瀬直美の新作と聞けば観に行くのだと思う。劇映画では世評の高い「萌の朱雀」や「沙羅双樹」は全くで、「火垂」が傑作だと思う。河瀬自身が濃厚に投影された主人公を2時間半かけて見せられると、多少冗漫な箇所があろうとやはり凄いと思えた。それに比して前記二作は、やはり実感が伴わない絵空事に思えた。又その世界観を90分程度では見せきれていないように思えた。山下敦弘が約80分の作家であるように、河瀬直美は2時間半の作家であると言いたいところだが、それは次の作品を待ちたい。
 ハナシが逸れてしまったが、河瀬直美を被写体にした番組は「萌の朱雀」直後から幾つも作られたが、その中では突出している。余剰箇所として河瀬の着衣ストリップとか、大江千里がナレーションとかもあるのだが、「火垂」の宣伝が行き届かないのは離婚したからと断言する河瀬が良い。